甲子園の風BACK NUMBER
“ドラ1の先輩”と比較されがちでも「小園さんは小園さん、自分は…」 佐々木麟太郎封じの市和歌山エースが強く言い切るワケ
text by
間淳Jun Aida
photograph byKyodo News
posted2022/03/26 06:00
153球を完投した市和歌山エースの米田天翼。強打者にも臆さない内角攻めが印象的だった
明秀日立の金沢成奉監督は「追い込まれたら安打を放つよりも、アウトの内容を徹底しています。うちらしい、しつこさを出せました。相手投手は序盤で球数が増えて、ボディーブローのように効いたと思います。データに基づいてカウントによって狙い球も絞れました」と手応えを口にしている。
そして、市和歌山の米田攻略にも自信をにじませた。
「次の試合も追い込まれたら見極める、食らいつく姿勢を徹底したいと思っています。打線は右投手を苦手にしていないので、何とか4、5点取りたいです」
花巻東戦では153球を投じているが……
市和歌山の米田は花巻東戦で153球を投じた。
9回はボールが高めに浮き、直球は140キロに届かなかった。球数が増えると当然、本来の球威を欠く。粘り強い明秀日立の打線に、この日と同じ投球をすれば、9回にたどり着く前に球数がかさんで痛打されたり、降板したりする可能性もある。
投球の引き出しが豊富だった小園からエースナンバーを継承した米田。小園との比較からは逃れられないだろう。だが、同じスタイルを追い求める必要はない。
「小園さんは小園さん、自分は自分でいいところがあると思います」
この言葉を体現すればいい。