濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
〈米軍基地で試合も〉沖縄唯一のプロレス団体『琉球ドラゴンプロレス』って何? リングネームはグルクンマスク、首里ジョーなど
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/12/03 17:02
琉球ドラゴンプロレス代表のグルクンマスク(左)と、顔面蹴りを入れる女子選手のハイビスカスみぃ
長期戦は覚悟の上だ。現在、興行は月に1回のペース。コロナ禍ではチケット収入だけに頼るわけにはいかないから、道場兼一般向けジムを沖縄市にオープンした。そこではパーソナルトレーニングに加えてプロレススクールも。子供の部では、技よりもまずリングを使って遊びながら体を動かす。
「今プロレススクールに通ってくれてる子供たちの中から選手が出てくるようになったら、そこからがいよいよ本格的な“沖縄のプロレス”の始まり。最初は焦りもあったんですが、今はそれくらいのスパンで考えてます」
所属選手はハイビスカスみぃ、美ら海セイバー、首里ジョーにウルトラソーキと沖縄にちなんだリングネーム。生え抜き選手、沖縄出身の“うちなんちゅレスラー”も少しずつ出てきた。再来年の旗揚げ10周年にはビッグマッチを開催したいという。
米兵の観客、基地内での試合も
8年の活動の中にはショッピングモールでの試合や養護施設訪問なども。そうして地域との関係を築いてきた。
「専門誌に載るのも嬉しいですけど、我々にとってより大事なのは地域の新聞だったり自治体の広報誌で紹介されること。沖縄市の大会では市長がリングで挨拶してロープワークまでやる(笑)。ウチはそういう団体なんです」
試合で大事にしているのは「マニアックになりすぎないこと」だ。プロレスにはどうしても「怖い、血が出る」といったイメージが強いから、笑いの要素も重視している。
「笑わせて、楽しんでもらって、その上で“コイツら凄えな!”と感じさせる試合を心がけてます」
観客の中には米兵もいる。基地の中で試合をしたこともある。「はっきり言って、僕らより体が大きい人たちも多いので(笑)」凄いと思わせるには余計にスピードやテクニックが大事になってくる。ちなみに米兵たちはWWEのおかげかプロレスの楽しみ方もよく心得ているそうだ。ヒスパニック系ならメキシカンプロレスのルチャ・リブレにもなじんでいる。