濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
〈米軍基地で試合も〉沖縄唯一のプロレス団体『琉球ドラゴンプロレス』って何? リングネームはグルクンマスク、首里ジョーなど
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/12/03 17:02
琉球ドラゴンプロレス代表のグルクンマスク(左)と、顔面蹴りを入れる女子選手のハイビスカスみぃ
「“沖縄唯一のプロレス団体”としての責任がある」
グルクンマスクは新日本プロレスやノアにも参戦、この11月には神戸を中心に全国で活動するドラゴンゲートとの合同興行を開催した。団体の大きさとしては差があるが、琉ドラの選手たちは好勝負を展開。ドラゴンゲートのチャンピオンであるYAMATOは、琉ドラの選手たちに「もっと上に行ける。俺たち2頭の龍でプロレス界をかき回していこう」とエールを送った。
どこに出しても通用するクオリティ。それもグルクンマスクがずっと意識してきたことだ。
「ローカルインディーだからこんなもん、ではダメですよね。地方の団体であることを卑下したくないし、そのためには全国どの団体とも対等に闘える実力がないといけない。ちゃんとした品質の商品を提供するっていうのはどの分野だって大事じゃないですか。東京、大阪といった大都市か地方かっていうのは場所の違いだけであって、それは上とか下とかではないと思ってます。
我々は沖縄唯一のプロレス団体として活動している。その責任というのもあるんですよ。琉球ドラゴンプロレスの試合で初めてプロレスに触れたという人もいるわけで、沖縄の人たちのプロレスのイメージを決めてしまうかもしれない。“プロレスってあんまり面白くないな、たいしたことないな”と思われてしまったら、沖縄で興行を開催する他の団体さんにも迷惑をかけてしまうので」
将来的にはアジア規模での興行も?
沖縄だからこそ、という“地の利”もある。
「沖縄は日本の最南端ではありますが、世界に向けての玄関口という面もあるんです」
これは11月20日に沖縄大会を初開催したRIZIN・榊原信行CEOの言葉だ。RIZINは今年オープンした沖縄アリーナを「西の聖地」にしたいと言う。グルクンマスクも世界、とりわけアジアを身近な場所と捉えているようだ。
「台湾もプロレスが盛んで、シンガポールやマレーシアからも選手が集まってくるんですよ。僕も行ったことがありますが、沖縄から飛行機で1時間ちょっと。インフラの面でもっと整備されればというところですけど、感覚としては東京に行くのと変わらない。ということは、台湾に集まっている各国の選手は沖縄にも来やすい。アジア規模で、いろいろ面白いことができるはずです」