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Jをめぐる冒険BACK NUMBER
関東1部(J5相当)のクラブが、あと5年で世界一? クリアソン新宿の“勝てる戦略”は「成功のモデルケース」になるかもしれない
posted2021/11/11 11:03
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Criacao Shinjuku
関東サッカーリーグ1部(J1から数えてJ5に相当)に所属するクリアソン新宿は、新宿区をホームタウンに、将来のJリーグ入りを目指すサッカークラブである。
スポーツを通じて、社会に感動や真の豊かさを創造しつづける存在でありたい――。
こうしたクラブの理念や地域活動が、新宿区サッカー協会や東京商工会議所新宿支部、新宿区体育協会、商店会連合会に認められ、理解者を増やしてきた。
それを証明するかのように、2020年11月に新宿区との包括連携協定が結ばれた。
この協定は、地域が抱える課題に対して、自治体と民間企業が協力して解決を目指すものだ。
クリアソン新宿と運営会社である株式会社Criacao(クリアソン)の代表を兼務する丸山和大は、さらに次の一手を打った。
Jリーグ百年構想クラブへの申請である。
Jリーグ百年構想クラブとはJリーグへの入会を目指し、Jリーグから承認されたクラブのことだ。クラブ経営、地域や行政との関係性、スタジアムの有無など、評価基準は厳しく設けられており、認定されるのは簡単なことではない。
クリアソン新宿の場合、クラブ経営は○。
地域や行政との関係性は◎。
しかし、決定的に×がつく項目が、スタジアムだった。
跳ね返されてきた「スタジアム」の壁
新宿区には2019年に完成した新国立競技場があるが、関東リーグ1部のクリアソン新宿が――たとえJ3に昇格したとしても――収容人数6万8000人という国内最大級の箱をホームとして使用するのは、現実的ではない。
とはいえ、新宿区にはほかにJリーグの開催基準を満たすスタジアムはなく、スタジアム建設に適した土地があるとも思えない。
関東リーグの試合を開催するためのグラウンド確保すら難しく、駒沢オリンピック公園総合運動場(世田谷区)、多摩市立陸上競技場(多摩市)、味の素フィールド西が丘(北区)などを使用したり、対戦相手のホームグラウンドをホームとして戦っている状況なのだ。
スタジアム問題という高い壁には、これまでにいくつものクラブが阻まれてきた。
クリアソン新宿もまた、この壁に跳ね返されるかと思われた。
ところが……。
大方の予想を覆し、クリアソン新宿は2021年2月、Jリーグ百年構想クラブに認定されたのである。
果たして、丸山はどんなマジックを使ったのか。