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アイドルはマルディーニとロベルト・カルロス…“長髪”ソリンが語るサイドバック論、飛躍は「マテ茶」のおかげ?
text by
栗田シメイShimei Kurita
photograph byREUTERS/AFLO
posted2021/07/14 11:01
母国含めて7カ国でプレーし、アルゼンチン代表としてもW杯に2度出場するなど、輝かしいキャリアを積んだファン・パブロ・ソリン
――チームや監督によってサイドバックに求められるプレーも異なる、ということですが、そこに国民性や文化が反映されることもあるのでしょうか?
それはあると思う。国によって求められるカラーは確実にある。例えばアルゼンチンでは、戦術的な要素が強くて、そこに個々の技術を求められる。ただ、サイドバックに求められることはまずは守備から。攻撃的な能力も必要だが、その比重はそこまで多くない。それがブラジルの場合だと、サイドの選手には比較的自由が与えられる風潮があった。
私はアルゼンチンのアルヘンティノスとリーベル・プレートでプレーした後に、クルゼイロ(ブラジル)にも移籍した。その理由は、自由に攻撃参加できる権限が与えられる国でやりたかったということもあるんだ。実際にその考えは正しくて、ブラジルでのプレーはとても楽しめたよ。
――過去にユベントスやラツィオにも在籍していましたね。セリエAはより守備的な印象です。
20歳で初の海外挑戦となったユベントスではかなり苦労した。アルゼンチンもかなり戦術的な国ではあるが、イタリアではそれに輪をかけてレベルの高い戦術的理解が求められた。アルゼンチンはチーム戦術としていくつかの絶対の決まりがあるが、アバウトな部分もあった。ところがイタリアでは、より細部まで詰められていた。トレーニングでも戦術練習が占める割合が多くて、求められる要素もアルゼンチンやブラジルとは大きく異なった。これまで体験したことがないトレーニングもあって、適応が難しく苦労したリーグだった。
――フランスはどうでしたか?
フランスもかなり面白い特徴を持っていて、印象的だった。とにかくフィジカル重視の国であり、展開が早いフットボールが好まれた。だからサイドバックのパスの選択肢において考えすぎはダメで、チームからは2タッチ以内でさばくプレーが求められていた。常にシンプルにプレーしろ、とね。常にDFラインの背後をチェックし、時間をかけずに敵陣の深いところにボールを放り込むなど、スピード感をもってプレーする意識を大切にしていた。