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崖っぷちギリギリでも…横綱白鵬はやっぱり勝つ 照ノ富士との直接対決へ不安要素は?《6場所連続休場明け》

posted2021/07/12 17:01

 
崖っぷちギリギリでも…横綱白鵬はやっぱり勝つ 照ノ富士との直接対決へ不安要素は?《6場所連続休場明け》<Number Web> photograph by KYODO

7日目、間合いを取る白鵬(左)と翔猿。大横綱に対して、仕切り線から大きく離れて立ち合うなど、工夫を見せた翔猿だが上手投げで敗れた

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荒井太郎

荒井太郎Taro Arai

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 1年4カ月ぶりの地方場所となる今年の名古屋場所は6場所連続休場明けの横綱白鵬の進退、照ノ富士&貴景勝の同時横綱昇進なるか、高安の再大関取りなど場所前は話題満載だったが、急性腰痛症により関脇高安がまさかの初日、2日目を休場(3日目から出場)。大関貴景勝は2日目の逸ノ城戦で頚椎椎間板ヘルニアによる神経根症を発症させ翌日から姿を消すなど、今場所の大きな“目玉”が霧散した。

 この1年、1場所15日間を全うすることがなかった白鵬が土俵に上がった日はわずか14日だけ。昨今は横綱不在の場所が常態化していたが、やはり大相撲興行の一番の華である横綱土俵入りがあるのとないのとでは全然違う。初日の白鵬による横綱土俵入りではその一挙手一投足に万雷の拍手が巻き起こった。それだけ多くのファンが最強横綱の復活を待ち望んでいた証しでもあろう。

 歴代1位の優勝44回を誇る横綱でもこれほど重圧のかかった場所はおそらくなかったに違いない。初日の小結明生戦は相手得意の左四つとなったが右上手もしっかり取って胸を合わせる体勢となり、これまでの白鵬であれば全く問題はなかったはずだ。しかし、意外にも苦戦して最後は投げの打ち合いを辛うじて制し、復帰初戦を白星で切り抜けた。

「経験とうまさで上回ったという感じですね」(白鵬)

 内容的には負けても不思議ではなかった一番をモノにしたことで初日前に抱いていた不安はかなり取り除かれたことだろう。翌2日目の遠藤戦も突っ張る両脇が“ガラ空き”となり、ややぎこちない動きではあったが連勝発進で懸念はさらに半減したのではないか。

「白星が一番の薬じゃないかな」(同前)

 元来が尻上がりに調子を上げていくタイプなだけに序盤を無傷で乗り切ったことで徐々に本来の姿を取り戻していく。

照ノ富士の抱える“爆弾”

 5日目の時点で勝ちっぱなしは早くも白鵬と大関照ノ富士の2人。この1年で3度の優勝、2連覇中の照ノ富士は今場所も抜群の安定感だ。4日目の大栄翔戦でまともに引いて相手を呼び込む場面があったものの、それ以外はここまで盤石の相撲ぶりだ。前回の大関時代に比べ肩越しに取った上手で振り回すなど強引な相撲が影を潜め、低く踏み込んで下からおっつけながら上手を取るなど、緻密な相撲が増えたことが大復活を遂げた大きな要因としてよく言われているが、その背景には相手を十分に研究し尽くしている痕跡も見え隠れする。

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