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居場所がないマッチョを救いたい…シドニー五輪銀メダリスト永田克彦(47)が「限界まで筋肉」を目指すジムを開いたワケ

posted2021/04/09 11:00

 
居場所がないマッチョを救いたい…シドニー五輪銀メダリスト永田克彦(47)が「限界まで筋肉」を目指すジムを開いたワケ<Number Web> photograph by  Ichisei Hiramatsu

4月にオープンする『MUSCLE-WIN』でトレーニングを披露した永田克彦。47歳となった今もその肉体に衰えは感じさせない

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高木圭介

高木圭介Keisuke Takagi

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Ichisei Hiramatsu

 6年前に史上最高年齢(42歳)で全日本レスリング選手権(グレコローマン71kg級)で優勝。「レスリング界の鉄人」の呼び声も高い永田克彦(2000年、シドニー五輪銀メダリスト=グレコ69kg級)が、この4月から、また新たな挑戦を始める。

 それはレスリングではなく、フリーウエイト・トレーニング専門の会員制トレーニングジム、その名も『MUSCLE-WIN(マッスルウィン)』をオープンするというのだ。11年前に、同地に本業であるレスリング、総合格闘技ジム『WRESTLE-WIN(レッスルウィン)』をオープンし、今や少年少女のレスリング大会で指導者としても高い実績を挙げる永田だが、今度はご近所に引っ越した『WRESTLE-WIN』の跡地に筋肉強化専門、いわば“鉄人の穴”をオープンするというのだ。

 現在、日本国内では全国各地の駅前、繁華街にスポーツジムのオープンが目立つ。流行りとしては「お手軽」「誰でも簡単」「気軽に痩せる」「お洒落にフィットネス」など、ライト層に訴求した文言が並ぶ。多くの人々をジムへと呼び込むためには当然だろう。

 だが「高重量」「限界まで筋肉を」「専門的トレーニング」を売りとする永田構想は真逆のベクトルだ。

「身体作りのプロ」「筋肉の研究者」

 本来はマッチョの巣窟であったトレーニングジムは現在、ライト層を取り込んだ結果、裾野こそ広くなったものの、お洒落にして極力、汗の匂いが排除された結果、マッチョ系の居場所がなくなりつつあるという逆転現象が起きている。永田が『MUSCLE-WIN』設立を思いついたのも、「本気で筋肉に取り組みたい人たちの居場所を確保したい」という思いが根柢にあった。

 実は永田、レスリング選手、指導者としての顔とはまた別に「身体作りのプロ」、そしてボディビルとはまた一味違う「筋肉の研究者」としての側面がある。

 それは千葉県立成東高校入学時から、5つ年上の兄・裕志(現・新日本プロレス)に倣ってレスリング部に入部するも、千葉県内の予選ですら優勝できず、インターハイや国体といった全国大会とは無縁のまま、名門・日本体育大学に進学したことに関係する。

【次ページ】 “無名”のまま進んだ名門・日体大

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永田克彦

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