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ドラフト制度をどう思いますか?
Jリーグのスカウトに聞いてみた。
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byYuki Suenaga
posted2019/10/17 11:45
2018年ドラフトで藤原恭大を引き当てガッツポーズするロッテ・井口資仁監督。自由競争のJリーグでは見られない光景だ。
獲得条件にある「相思相愛」。
それでも、川崎Fに対して他クラブから不平不満が出るわけではない。獲得競争で後塵を拝した某クラブのスカウトは「本人の行きたいと思うクラブに行ったほうがいい」と納得していた。
向島スカウトも「相思相愛にならないと、獲得することはない」と断言する。これと思った選手は惚れ込んで熱心に追いかけるが、強引にアプローチして勧誘することはない。
「フロンターレでプレーしたいかどうかが、すごく重要なところ。本人が心から来たい、ここでやりたいと思わないと、プロに入ってから、しんどいときに踏ん張れません。試合に出られない時期などに我慢できなくなるんです」
心のどこかで「本当は来たくなかったのに」という思いがあれば、人のせいにして、逃げ道をつくってしまう。こうなると、互いにとって不幸な道をたどることになりかねない。
「選手に惚れ込む」は共通。
ベテラン・スカウトの向島氏は、プロ野球の同業者からも学べることは学んできた。自宅の本棚にはスカウト関連の本がずらりとそろう。広島カープのスカウト統括部長・苑田聡彦氏について書かれた『惚れる力』などもその一冊。
「選手に惚れ込むところなどは共通しているなと思いました」
主将の小林悠(拓殖大)、副将の谷口彰悟(筑波大)と大島僚太(静岡学園高)、若手の守田英正(流通経済大)や脇坂泰斗(阪南大)など、獲得してきた選手はことごとくチームの主軸になっている。
「来たくなかったのに来るのが一番困ります。もしサッカーにドラフトがあれば、自分から来たいという選手しか指名しません。本人が難色を示せば、指名することはないでしょうね」