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2009年ドラフトの今を検証<DeNA編>。
筒香嘉智の指名は後世に残る英断。
posted2019/10/06 18:00
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Kyodo News
第3回は横浜DeNAベイスターズです!
<2009年ドラフト>
1位 筒香嘉智/内野手/横浜高
2位 加賀繁/投手/住友金属鹿島
3位 安斉雄虎/投手/向上高
4位 眞下貴之/投手/東海大望洋高
5位 福田岳洋/投手/四国・九州アイランドL香川
―育成―
1位 国吉佑樹/投手/秀岳館高
2位 小林公太/投手/多摩大聖ヶ丘高
この年、ベイスターズは2年連続最下位に低迷していた。8年間ではAクラス1回という万年Bクラスの弱小球団で、その責任の大半は投手陣にあると言っていい。'09年のチーム防御率はリーグ唯一の4点台(それも4.36)で、前年の'08年もリーグ唯一の4点台(それも4.74)という低迷ぶりである。
それならばドラフト1位は即戦力投手になるはずだが、視線は高校生野手・筒香嘉智に向かった。これは英断である。目の前の現実ではなく、5年先、6年先を見る長期ビジョンが備わっていたのである。たとえ即戦力投手がほしい現実があっても未来に懸ける、これがドラフトに向かうときの基本精神で、ベイスターズはそれを実行した。この1位筒香は後世に残る指名である。
筒香がシーズン100安打を記録したのはプロ5年目と普通だが、それ以降が素晴らしい。'16年には打率.322、本塁打44、打点110で本塁打と打点の2冠に輝き、打者を評価する新たな指標OPS(出塁率+長打率)は超一流の10割超え、1.110を記録した。'17年のWBCでは4番を任され、本塁打を3本放っている。
太く短く生きた加賀繁。
2位加賀繁も印象に残る投手だ。残した成績は279試合に登板して12勝22敗1セーブ72ホールド、防御率4.03。私が成功の基準にするのは50勝(1セーブ、1ホールドは0.5勝)、300試合登板だから少し足りないが、成功選手と言っていい。
チームが弱かった'15年までのゲーム終盤をしっかり締め、'12年には61試合に登板して防御率2.86を挙げた。タイトルに絡んだことは1度もないが、この'12年は44回投げて被安打34(被安打率6.95)、奪三振45(奪三振率9.20)という見事なものだった。「太く短く」生きたセットアッパー人生である。