高卒ピッチャーが育たない？

　3、4位は高校生投手だった。目を引くのは、ベイスターズという球団は現在に至るまで高校卒投手が活躍した例が極端に少ない。21世紀以降で見ると、山口俊（'05年高校生ドラフト1巡）ぐらいだろう。

「高校卒のピッチャーは活躍しないから指名をしない」

　そう思ったかどうかわからないが、指名自体が少ないのだ。

'09年以降の過去10年で見れば72人指名したうち高校生投手は12人だけ。1、2位の上位指名は'11年1位の北方悠誠だけで、北方は一軍登板ゼロのまま引退している（現在はドジャースとマイナー契約）。

　こういう高校卒投手が育たない土壌のなかで育成ドラフト1位国吉佑樹が、成功基準には達していないものの、ここまで通算178試合に登板して17勝25敗24ホールド、防御率3.86。そのうえ今シーズンは53試合に登板して5勝3敗9ホールドを挙げている。これは自身のキャリアハイである。

　高校卒が育たないと囁かれる環境で、これらの逆風を跳ね返して150キロ台中盤のストレートを武器にリリーフ投手としての地位を築こうとしているのである。遅咲きの剛腕の本格化はまだ始まったばかりだ。