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F1を変えたCVCがラグビー界に参画。
赤字続きのイングランドリーグは変わる?

posted2019/05/27 10:00

 
F1を変えたCVCがラグビー界に参画。赤字続きのイングランドリーグは変わる?<Number Web> photograph by Getty Images

2015年からラグビーイングランド代表の指揮するエディー・ジョーンズ。自国のプロリーグは大きな転換期を迎えている。

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竹鼻智

竹鼻智Satoshi Takehana

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 日本ラグビーの「2019年以降」が、なかなか見えづらい。

 今年3月、日本代表強化の一環として発足したサンウルブズが2020年シーズンを最後にスーパーラグビー(国際リーグ戦)から除外されることが発表された。4月には2022年シーズンから3部制とする国内トップリーグ再編案が発表されたが、流動的な要素があまりに多い。代表活動でも、日本が参加意思を示していた新設の国際大会「ネーションズ選手権」にも、2022年の第1回大会から参加できるかどうか雲行きが怪しくなってきた。

 W杯開幕までいよいよ120日を切り、人々の興味は本大会における日本代表のパフォーマンスによりフォーカスされていくことだろう。その一方で、W杯以降の日本ラグビーについても、さらなる議論があっていいように思う。

 未来の日本ラグビーはどうあるべきか――。論点、改善点は数多挙げられるが、「世界のラグビーのいま」について見聞を広めるのも一理あるだろう。

 ここで、ロンドン在住のラグビージャーナリスト竹鼻智氏による「フットボールの母国にして世界一のラグビー大国イングランドの現状」を連載でレポートする。

 約36万人の正式登録選手(日本は約11万人)が存在するイングランドのクラブラグビーは、プレミアシップを頂点とし、地方のアマチュアリーグまで含めると11部まであるピラミッドを形成している。基本的に1部のプレミアシップと2部のチャンピオンシップの選手はフルタイムのプロ選手で、3部以下はセミプロかアマチュア選手によってチームが構成される。

 毎シーズン、各リーグの上位と下位クラブの昇降格が行われており、11部リーグの下にも無数の地域リーグやリーグに所属せず定期戦や柔軟に組まれる非公式戦のみを戦うクラブも多くあり、イングランドのクラブラグビー界は、まさに世界最大の規模を誇る。

 だが、そんな巨大なピラミッド構造の頂点に立つプレミアシップのクラブも、プロスポーツビジネスとしては健全に機能していない。

 株式会社として登記されているリーグ運営団体「プレミアシップ・ラグビー・リミテッド」の2017-18シーズンの収支は、4440万ポンド(約61億6700万円)の赤字。この額は前年度史上最高となった3000万ポンド(約42億円)の赤字を上回るもので、イングランドのプロクラブラグビーが抱える構造的な問題を、浮き彫りにしている。

クラブを圧迫するのは人件費。

 このシーズン、12クラブ中唯一の黒字会計となったエクセターは、70万ポンド(約9800万円)の利益を計上しているが、他のクラブは120万ポンド(約1億6800万円)から970万ポンド(約13億6000万円)の赤字を計上。

 こうしたクラブの赤字経営の大きな原因とされるのが選手への年俸で、2018-19シーズンにプレミアシップへの昇格を果たしたブリストル・べアーズは、前シーズン2部リーグで挙げた売上でこのシーズンを戦う選手への給料を払わなければならず、530万ポンド(約7億4300万円)の売上に対し、830万ポンド(約11億6400万円)の人件費を計上している。

 このブリストルのケースは極端な例だが、12クラブの合計を見てみると、売上2億2100万ポンド(約309億8700万円)に対し、人件費が1億4320万ポンド(約200億7800万円)と、売上の約65%が人件費に費やされている。

【次ページ】 F1で莫大な利益を得た投資ファンド。

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