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「2020」でクライミングを楽しむために。
私たちが見るべき選手と知るべきルール。
text by
津金壱郎Ichiro Tsugane
photograph byAFLO
posted2019/03/29 12:00
今年1月、駒沢オリンピック公園で開催されたボルダリング・ジャパンカップ予選。
5月、8月に控える重要な大会とは。
4月から始まる国際大会シーズンに向けて調整段階にあるトップクライマーをはじめ、多くの選手たちが国内3大会で実力を示したのは、5月と8月に重要なハードルが控えているからだ。
5月25日・26日に愛媛県西条市で開催される『コンバインド・ジャパンカップ』は、東京五輪の実施種目コンバインドで争われる。この大会には3種目それぞれのジャパンカップでの順位を乗算して算出する複合ポイントの上位20~30選手が出場でき、この大会で1位を獲得した選手には、8月の『世界選手権コンバインド』の出場権が与えられることが決まっている。
そして、8月にはすべてのスポーツクライマーが夢見る舞台、『世界選手権』が東京・八王子で開催される。この大会でのコンバインド種目には、全世界で男女各20名しか手にできない五輪切符のうち7枚がかけられている。
コンバインドのルール変更で影響が?
こうした背景があるため、日本選手たちは『世界選手権』への過程にある、5月の『コンバインド・ジャパンカップ』を重視している。その戦いでポイントになるのが、今シーズンに導入されたコンバインド種目のルール変更。主な変更点はふたつある。
1)コンバインド決勝におけるボルダリングの課題数が、4から3へ減少
2)コンバインド決勝戦に進出できる選手数が、従来の6人から8人に増加
世界選手権や東京五輪を見据えたときに、日本選手に大きく影響しそうなのが、ボルダリングの課題数削減。3課題で8選手に順位を付けるということは、課題内容によっては同着が増える可能性が高まる。ボルダリングを得意にする日本選手にとっては、ここで順位を稼げないようだと、苦しい展開になることも想定される。選手たちは次のように捉えている。
「ボクは前から3課題でいいかなと思っていたので、気にしていないですね。きっとアテンプトがかかる課題が増えるんだと思っています。そこに対応できる力をつければいいだけなので」(楢﨑智亜)
「どの傾向の課題が出なくなるかを考えますね。順位への影響はやってみないとわからない部分が大きいので、試金石となる5月のコンバインド・ジャパンカップをしっかり戦いながら、コンバインドの戦い方を見極めたいです」(杉本怜)