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<大谷翔平、交流戦に見た右腕の進化>
セの好打者が語る、3年目の脅威。
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph byphotographs by Nanae Suzuki
posted2015/07/02 06:00

投球内容の善し悪しを問わず前向きな姿勢を貫く大谷翔平が、珍しく負の感情を顕わにした。
6月14日のDeNA戦。大谷は試合前、今までになく調子の悪さを感じていた。
「ブルペンからよくなかった。フォークが落ちなかったり、スライダーも曲がらなかったり。最近では一番悪かったです」
だが、状態と結果が必ずしも一致するとは限らない。この試合、大谷は8回途中に右足首の違和感で降板するまで相手打線を4安打1失点に抑え、チームに勝利を呼び込んだ。
「使えるボールが真っ直ぐしかなかったので、相手の裏をかきながら騙しだまし投げました」
大谷は自身の投球をそう説明した。
この日の最速は159km。交流戦でしか対戦のないセ・リーグの打者たちが「いかにして大谷の160kmを打ってやろうか」と牙を剥いてくることは大谷自身、分かっていたはずだ。にもかかわらず、ストレートだけで相手を翻弄するあたりに今の大谷の凄みが表れている。
梶谷隆幸はそれを体感したひとりだ。
「やっぱり打席に立つと速く感じました。いいコースに来たボールは対応するのが難しかったです。簡単に打つことはできないし、カットしようにもうまくいかない」
そう脱帽するのも仕方がない。DeNAの中軸を担う3割打者ですら、昨年に続き今年も1本の安打も放てず大谷の前に屈したのだ。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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