野球善哉BACK NUMBER
「島袋洋奨も高2は甲子園で負けた」
興南が0-7敗戦から得た教訓とは。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2018/08/15 18:00
2010年以来の夏制覇とはならなかった興南。しかしこの敗戦を機にさらなる成長を遂げるはずだ。
それぞれの役割が線にならず。
木更津総合のエース・野尻幸輝はこのイニングの心境をこう語っている。
「戦争中にも野球があって、その中で亡くなられた方もいる。そう思うと感謝の気持ちをもってプレーすることは大切だなと1分間で感じたので、全力で行こうと思った。落ち着くことができました」
一方、興南としては5回、7回にそれぞれ1失点したダメージは計り知れなかっただろう。根路銘は悔しさをにじませた。
「自分たちは先取点を取るチャンスがあったのに生かせず、自分のエラーなどで崩れてしまった。流れを変えるチャンスはいっぱいあったんですけど、そこでフライを打ち上げたり、低めのスライダーに手を出してしまったり……。それぞれの役割が線にならずに、点で終わってしまった」
いい勉強をさせられたゲーム。
木更津総合・五島卓道監督は「打ち合いになる展開はしたくなかった」と慎重に戦ったことを明かしている。序盤のチャンスでホームに還れなかった興南とは対照的に、木更津総合は走者を二塁に置いたチャンスで確実に得点を奪い、スクイズもしっかりと決めた。興南としてみれば、じりじりと離されるもどかしさを感じたことだろう。
「走塁、打撃、投手と三拍子そろっている木更津総合のようなチームに勝たないと、この先には進めないと思っていた。いい勉強をさせられたゲームでした」
とはいえ興南・我喜屋監督の表情が暗くなかったのは、野球人生はこれからも続くという考えがあるからだ。
自身は50回大会に選手として出場し、ベスト4に進出した。その後は監督就任後、2010年に春夏連覇を達成したし、今年は100回大会に出場した。そうした縁を感じながらも、今回の敗戦にもしっかりとした意義を見出している。