大相撲PRESSBACK NUMBER
遠藤のブレイクを予想する根拠。
大相撲の「上位定着から3~5年」説。
posted2018/03/13 15:00
text by
西尾克洋Katsuhiro Nishio
photograph by
Takeshi Honda/JMPA
近年の大相撲は、閉塞感というキーワードで語られることが多かったように思う。
その閉塞感の中心に居たのは白鵬だった。白鵬が多くの場所で優勝し、優勝を争う力士も限られていた。好調な時は日馬富士が競り、その後鶴竜が台頭し、そして稀勢の里はいつも大事な相撲を落としていた。
白鵬の素晴らしさに感嘆しながらも、怖いことに素晴らしさに我々は慣れてしまう。次の刺激を求めていたことも事実だ。
当時大関だった稀勢の里への期待が膨れ上がったことや、大砂嵐、逸ノ城といった番付を駆け上がってきた力士をクローズアップする動きが顕著だったのには、こうした背景も影響していたように思う。
上位陣の顔ぶれが固定化していることで、大相撲がここ数年変わっていないような印象を受けている方も多いと思う。だが、それは上位の話だ。少し目線を変えると、まったく異なる大相撲がそこにはある。
一番分かりやすい例だと、小兵力士の躍進が挙げられる。
近年は力士の大型化が進み、速くて強い相撲が主流になる中で130キロ台の日馬富士でさえ小兵と言われるようになっていた。
だが最近は、石浦(116キロ)や照強(113キロ)が関取として奮闘している。今場所では100キロに満たない炎鵬が、入門から1年で十両に昇進した。彼らは大きな力士が相手でも闘えるという1つの潮流を作りだしている。
他にも嘉風に代表される30代半ばのベテラン力士の活躍や、栃ノ心や宇良、阿武咲のように長期休場を選択肢とすることなど、これまでの大相撲にあまり無かった変化も見られるようになってきた。
かつてのエレベーター力士たちが。
そして、もう1つ。最近の大相撲を語る上で重要な変化を紹介したい。
高安、嘉風、玉鷲、そして栃ノ心。
彼らの共通点、お分かりだろうか。それは、かつて番付を上下するエレベーター力士だったということだ。さらに彼らは、その状態から自分の殻を破り、上位でも勝てる力士になったということである。
長らく相撲を観ているが、かつてこのような力士は稀だった。誰が居るだろうかと記憶をたどっても、あまり思い出せない。