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西武・外崎修汰は古き良きパの職人。
繋ぐ意識の延長線上に2ケタ本塁打。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2017/08/24 07:00
'15年にドラフト3位で入団。今季はシーズン中盤まで2割前後だった打率が2割5分まで上昇(8月20日現在)。初の2ケタ本塁打も記録した。
2割そこそこだった打撃が交流戦を機に上昇。
そんな外崎だが、開幕当初は打率が2割に満たないほど苦しんでいた。しかし開眼のきっかけは交流戦にあった。
5月30日の広島東洋カープ戦で、薮田和樹投手と対戦したときのことである。
「それまでも、自分の中で真っすぐをとらえ切れていない感覚があって、いろいろ考えていたんです。そんなとき辻(発彦)監督から“少しバットを短く持ってみたらどうだ”と言われました。相手が速球派のピッチャーだったということもあって、とりあえず試してみようという感覚だったんですけど、その試合でいい感触で打てて、そのあともヒットが出るようになりました」
ほんの指1本分ほどだが、バットを短く持つこと。富士大学時代、最多打点賞や首位打者など、打撃部門のタイトルを数多く受賞してきた外崎にとっては勇気が必要な決断だった。本人も正直、抵抗があったと振り返る。
「飛距離が出なくなったり、打球が弱くなったら嫌だな……とか。自分が大事にしている感覚が変わってしまうんじゃないかと怖かったですね。でも、実際に持ってみたら意外と変わらないなぁという印象で、逆に、いい結果が出るようになったんです」
「辻監督は、ミスしたことをとやかく言わない」
現在、チームから求められている役割は「つなぎ役」。そのため、右方向へ打球を打つことも強く意識するようになったと振り返る。
「進塁打ではなくても、右方向を意識すると、ボールを長く見ることができています。それがヒットになるかどうかはまた別としても、自分の中で、しっかりボールを見て打てている感覚はありますね」
ランナーを進めるために意識したことが、結果的には自身のためにもなったと語る。
「進塁打などの細かいプレーが確実にできて、ランナーがいなければ出塁して、走って……というスタイルが理想です。自分が試合で使ってもらえている理由はそこだと思っているので、もっと磨いていきたいですね。辻監督は、ミスしたことをとやかく言わない。失敗を怖がるな、三振を怖がるなといつも言ってくださいます。だから、三振したらどうしようとか、そういう小さい気持ちではやっていない。思い切りやれていると思います」