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彼女の人生とラグビーはどこで交差した?
五輪決めたサクラセブンズの生き方。
posted2015/12/02 11:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Getty Images
これほど異なった経歴の人たちが集まった代表も珍しい。
11月29日、リオデジャネイロ・オリンピック出場を決めた女子7人制ラグビーの日本代表、「サクラセブンズ」の面々だ。
他の球技の代表選手といえば、バレーボールでもバスケットボールでも、小学生のときからずっとその競技ひと筋というケースが多い。しかし、日本における女子ラグビーはまだ黎明期、ラグビーの場合は他の競技からの転向組も多い。
“チームの芯”はバスケット出身者!?
まずは、バスケットボールから。
冷静でたくましく、リーダーシップにあふれる主将、中村知春は法政大学バスケット部出身。身長は162センチ、関東大学女子2部リーグのレベルを考えると、ガードとしても小柄な部類に入る。
「(バスケ部時代は)ファウルばっかりしてました」
とは本人の弁だが、大学を卒業してからも何かスポーツを続けたい、その気持ちがラグビーとの出会いを生む。キック、アタック、タックル。どのプレーを見ても、チームの「芯」になっているのは疑いようがない。
サクラセブンズは貴重な人材を手に入れたのだ。
京大→大手出版社→ラグビー日本代表。
背番号3、FWの竹内亜弥は京都大学バレーボール部の出身。本好きの彼女は、大学を卒業してから、東京は神楽坂にある出版社、新潮社に入社した。
「『週刊新潮』に配属されたらバレーボールを続け、営業部だったらラグビーをやろうと決めてました」
配属は営業。これも運命の為せる業か、竹内は真円のバレーから、楕円のラグビーの世界に飛び込む。中距離が得意とあって、豊富な運動量が生かせるラグビーは竹内にとっては自己表現の場となった。
ただし、代表候補に入ってからは仕事との両立が困難になる。オリンピックを目指そうと退社を申し出たが、幸いにも経営陣は休職を認めてくれた。