ラグビーでは国の代表チーム同士の試合を「テストマッチ」と呼ぶ。日本の“テストマッチ史”で語り継がれてきたのがスコットランド戦（1989年秩父宮ラグビー場）と第2回W杯（1991年）のジンバブエ戦だ。ラグビー宗主国に勝ち、今大会で勝つまで、W杯で唯一の勝利。指揮を執った著者がこの2試合を語った。成功物語でいいはずだが、「この本はサクセスストーリーではなく、ラグビーのテストマッチを戦う人間達の記録」と断っている。特異なのは、ジャパン（代表チームの習慣的な呼び方）を世界ラグビーの中に据えて眺める視点だ。