岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER

ラグビー協会GM・岩渕健輔が語る。
「世界の頂点を目指す『必要』がある」 

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岩渕健輔

岩渕健輔Kensuke Iwabuchi

PROFILE

photograph byWataru Sato

posted2015/01/30 10:40

ラグビー協会GM・岩渕健輔が語る。「世界の頂点を目指す『必要』がある」<Number Web> photograph by Wataru Sato

自身も元日本代表であり、日本人初のイングランド・プレミアシップ入りを果たしている岩渕健輔氏。39歳の若さで日本代表GMの重責を担っている。

世界で勝てない競技は、ファンを惹きつけられない。

 と同時に指摘できるのは、日本におけるスポーツを取り巻く状況の変化です。

 昔から日本では、オリンピックなどの個人種目で入賞して人気が出るようなケースが多数を占めていました。

 しかし2000年頃からは、チームスポーツでも結果を求める傾向が強くなっていきます。要因としては、サッカーや野球の代表チームが国際大会の本大会に出場するようになったこと、日本でサッカーのW杯が開催されたこと、様々な競技において海外でプレーする日本人選手が増えてきたことなどが挙げられますが、このような時代の変化を受けて、日本国内だけで盛り上がるのではなく「世界」の舞台で戦い、結果を出していくことが期待されるようになってきました。

 これは野球ですら例外ではありません。

 野球は他のスポーツに先駆けてプロ化されましたし、日本では相撲と共に広く親しまれてきました。第1回、第2回のWBCでは優勝を果たして国民の期待に応えたわけですが、2013年の第3回大会では、3位決定戦に回ることが決まった瞬間に、ファンの方々の関心が一気に醒めたと言われています。優勝の可能性がある場合には国を挙げて応援していただける反面、期待に応えられなくなった場合には、興味を示してもらえなくなったのです。

 これは日本のスポーツファンの目が肥えたことの表れです。また、より厳しい目で見ていただけるというのは、競技のレベルアップを図る上で歓迎すべきことでもあります。しかし言葉を変えれば、かつてないほど、シビアに結果を求められる時代に入ったということに他なりません。

日本ラグビーの運命がかかる、2019年と2020年。

 日本ラグビーに携わる私たちも、このような現実を正面から受け止めていかなければなりません。ましてや2019年には、ラグビーW杯の日本大会が開かれますし、翌年には東京で二度目の五輪が開催されます。これら2つの大会は、日本ラグビーにとって決定的な意味を持っています。この時期に、日本ラグビーそのものの未来が決まるといっても過言ではないでしょう。

 まず2019年のW杯は、かつてないほど多くの方が日本でラグビーというスポーツに触れ、話題にし、そして実際に試合を目にする機会になるでしょう。母国でスポーツのW杯が開催される、しかも自分たちの代表が出場するとなれば、否応なく関心は高まります。

 2020年の東京五輪もしかりです。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、7人の選手でチームを組む「7人制ラグビー」は、来年のリオデジャネイロ五輪から正式競技になります。当然東京五輪では、日本代表はその本命チームとして大会に臨まなければなりません。

 2つの大会に優勝候補として臨めるチームを作り上げ、「自分たちは本気で世界一を目指します」と宣言できるようにしていく。そして実際に結果を出し、日本の多くの方々と喜びや感動を共有する。

 これが達成できれば、ラグビーは日本に欠かせぬスポーツとして再び定着し、今後20年、30年と発展を続けていくでしょう。逆に、万が一にも期待に応えられないようなことがあれば、かつてのような人気を回復させることなど、永遠に叶わなくなってしまいます。2019年と2020年は、日本ラグビーにとって千載一遇のチャンスであると同時に、未来をかけた大一番になるのです。

【次ページ】 世界トップ10という中間目標を、昨年前倒しで達成。

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