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真の「自分たちのサッカー」とは?
山形が証明し、千葉に欠けたもの。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byNoriko Nagano
posted2014/12/11 16:30
2005年、2006年とナビスコカップを連覇した「名門」ジェフ千葉は来年、J2での6シーズン目を迎える。遠ざかるJ1の記憶はまだ千葉に力を与えてくれるのだろうか。
「自分たちのサッカー」の本当の意味とは?
「自分たちのサッカー」は、2014年の日本サッカー界で最も頻繁に取り上げられた流行語の一つである。ブラジルW杯に臨んだ日本代表の面々は何度もこの言葉を口にし、それができれば世界の大舞台でも結果を残せると強調した。実際にピッチに立ち、相手を肌で感じた選手たちが言うのだから、その感覚に間違いはない。しかし問題は、いつ、どんな時でも、100%の状態でそれを発揮できるかどうかにある。
この言葉は、日本代表だけでなく、どのカテゴリーにおいても頻繁に用いられる言葉だ。自分たちのサッカーをしよう。自分たちのサッカーができれば勝てる。自分たちのサッカーを貫こう――。
山形は1年間という時間をフルに使ってその概念を浸透させ、少しずつ精度を上げてきた。一方の千葉は、関塚監督に半年足らずという期間でそのミッションの遂行を託し、13位という順位から飛躍的なジャンプアップに成功した。
その過程において、彼らは勝利に直結する「自分たちのサッカー」を手にした。しかしそれはまだ、いつ、どんな時でも、100%の状態で発揮されるものではなかった。
勝つために大切なのは、内容ではない。
「自分たちのサッカー」を持つことの意味は何か。それを実現するために必要な要素は何か。必要な要素を手にするには、何を、どうすればいいのか。
山形の勝利と千葉の敗北は、あらゆるチームに共通するテーマである「自分たちのサッカー」について、その作り方のヒントを示している。
客観的な自己分析によるストロングポイントの抽出と、それを浸透させ、形に変える時間。そして、確信がもたらす強靭な精神力。少しでも迷いがあれば、「自分たちのサッカー」は機能しない。勝つために大切なのは、内容ではない。