詳説日本野球研究BACK NUMBER
部活は大学の単位をとってから!?
野球と“学業”、“伝統”の関係。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byAFLO
posted2013/12/23 08:01
明治大学は本文中にあるように全体練習は朝練のみ。東京六大学リーグ、東都大学リーグともに学業優先の流れがある一方で、大学野球の部員数は増加し続けている。
もう1つの流れ、大学野球の学業優先。
明治学院大が所属する首都大学リーグが、来季から平日開催をやめるというのもニュースだ。首都大学リーグのホームページにアップされた告知を見てみよう。
本連盟は、2014年春季リーグ戦より下記の試合方法で実施する事が決定致しましたのでご報告させて頂きます。
(1)リーグ編成
1部8チーム、2部7チーム
(2)試合方式
1、2部共に全チーム2回戦総当たりとして、勝率により順位を決定する
'13年秋の2部リーグ優勝校・東京経済大、2位・桜美林大を1部リーグに昇格させて8校による14試合総当たり制でリーグ戦を行い、順位はそれまでの勝ち点ではなく勝率で決定するというのだ。この試合方式の変更は1勝1敗になっても勝負を月曜日に持ち越さない、つまり学業を優先した配慮である。
平日開催の東都大学リーグにも動きがある。「外に飛び出すファウルが多く危険だから」という理由から、神宮第二球場で行われていた2部リーグの試合を終えることになったのだ。そのためリーグ戦は東洋大学などリーグ所属大学の野球場・グラウンドで行われるようになり、それにともない平日開催だったのが土、日曜スタートに改められる。授業優先は今や大学野球の大きな流れと言っていい。明大などは全体練習が朝練の2時間ほどしかなく、あとは個人の自主練習にゆだねられているという。
学業の重視と、プロへの可能性の両立が求められる。
ただ、プロをめざす逸材が最も多く入学しているのが東京六大学リーグ各校という矛盾がある。学業優先とプロへの道――選手として大きくなるためには学業をおろそかにしないことが重要と、胸を張って理詰めに伝えることが各校の指導者には求められている。
直近の明治神宮大会で優勝した亜細亜大が所属する東都大学リーグは、全国でも数少ない平日開催だが、ここにも学業優先の風が吹き始めている。東都大学野球リーグの『80周年記念誌』に載っている仲村恒一・日大監督の言葉を紹介しよう。
大学野球で大きく変化したことは単位修得の難しさ、卒業の大変さではないでしょうか。これは野球部に限ったことではないのですが、一昨年、監督を引き受けて、単位修得の難しさを見聞きして驚かされました。私たちが学生時代は野球部の練習が中心で合間をぬって授業に出ていたのですが、今は全く逆になってしまいました。これも学校を取り巻く環境の変化に伴う、学校の経営方針の一つですから従うだけです。
大都市圏の名門リーグに吹き荒れる学業優先の嵐と、地方の大学リーグの台頭という問題を抱えて、大学野球は難しい舵取りを求められる時代に入った。