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日本代表監督のポストは人気が無い?
原博実の信念と監督が決まらぬ理由。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKYODO
posted2010/08/26 10:30
記者会見では報道陣にその監督決定の遅延の理由と責任を巡って厳しく問われた原博実委員長。しかし、一切の妥協無く監督交渉を進めている点をこそ高く評価したい
ペジェグリーニ、バルベルデ……名将に次々と断られ。
初めに接触したのが、レアル・マドリーの前監督であるペジェグリーニ。「日本の選手の名前や年齢構成も知っていた」とペジェグリーニに好感触を得たことで年俸提示を含めて交渉をスタートさせたという。ペジェグリーニがバカンスに出たタイミングで渡欧して、元ビルバオの監督であるエルネスト・バルベルデとも接触を図った。しかし、バルベルデはかねてから交渉中だったオリンピアコスの監督に就任し、ペジェグリーニは条件面で折り合いがつかずに8月中旬に決裂してしまった、と原は説明した。
この2人以外にも、報道では候補者として元サラゴサのビクトル・フェルナンデスや、南アフリカW杯でメキシコ代表を率いたハビエル・アギーレの名前が出ている。いずれも攻撃的なパスサッカーを志向している指揮官と言っていい。
名前こそ出ていないが、攻撃サッカーを標榜してきたあるビッグネームの噂も出ている。真偽のほどは別にして、知名度うんぬんではなく、原が掲げる基準の大枠のなかで選考していることがうかがえる。
Jリーグで実績を残している監督を候補にいれるべき。
来年1月にはアジアカップを控えており、五輪代表となるU-21代表も11月にはアジア大会が待っている。決定が遅れていることは誠にいただけないが、技術委員長の意中とするタイプを連れてくることが何より肝要である。9月いっぱいまでに決着を図るためには、協会も指をくわえて待っているだけでは事は進まない。原に一任するだけでなく、もっと援護射撃をしていくべきだ。
筆者個人としては、攻撃サッカーを目指すにしても、Jリーグで実績を残している監督も候補に入れたほうがいいという思いに変わりはない。しかしながら、権限のある原委員長が「世界路線」こそが日本の活きる道と決断した以上、協会全体として原の決めた方針を支えていかなければなるまい。
原が代行監督を務めるために帰国した以上、協会から原の意をくんだ特使を派遣するのも一考だ。現地に交渉スタッフは残っているが、テコ入れは検討しなければならない。「あとは返事待ち」と言うが、交渉事はここからが大事なのである。