南ア・ワールドカップ通信BACK NUMBER
あのオランダ戦の“過信”を武器に!
岡田ジャパン、ただ1つの勝機とは?
text by
浅田真樹Masaki Asada
photograph byTakuya Sugiyama
posted2010/06/18 11:20
猛攻を受ける日本に一縷の望みがあるならば……。
オランダは初戦、堅守速攻で鳴るデンマークを相手に先制するまでは手を焼いたが、その後はスピーディなドリブルとパスを組み合わせ、多くのチャンスを作り出した。
とりわけ日本にとって相性が悪そうなのは、途中交代で出場してきたFWエリアである。単純なスピードだけでなく、瞬間的な加速や方向転換が抜群に鋭い。彼がひとりいるだけで、日本の守備ブロックは相当押し下げられることになるだろう。
日本はまるで覇気のなかったカメルーンにすら、55%もボールを支配されたのである。オランダ相手なら、その数字はさらに高まるに違いない。韓国がそうであったように、日本も長く自陣に閉じ込められ、精神的に苦しい時間が続くと予想される。
こうなると、前述の話も変わってくる。
猛攻を受け続けても落ち着いていられるかもしれない!?
人間は苦しい状況に立たされたとき、まったく未知のものと向かい合うより、すでに経験したことのあるものと向かい合うほうが、間違いなく精神的に落ち着いて対応できる。日本がオランダの攻撃を、下手をすれば、ほぼ一方的に耐え忍ぶ展開すら予想されるなか、昨年得た、過信にすら近いポジティブ・イメージは確実にプラスに作用するはずだ。
ただし、プラスに作用する、と言っても、それは「試合を壊さない」というレベルの話である。それだけで0対3のスコアをひっくり返せるほど、ポジティブ・イメージは万能ではない。言うまでもなく、オランダとの力の差は明らかなのだ。
だが、今の日本にとっては、それすらも貴重な武器。カメルーン戦勝利というポジティブ・イメージとともに、最大限に生かしたい。