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自身とチームの連敗をストップ!
ヤクルト・石川の“カツオ的”投球術。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/05/31 12:45

自身とチームの連敗をストップ!ヤクルト・石川の“カツオ的”投球術。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 この日の投球を見て、1年半ほど前にインタビューしたときの東京ヤクルト・石川雅規の言葉を思い出した。

「どんなに球が遅くても、ピッチャーの生命線って真っ直ぐなんです。キレのいいボールを両サイドにパチン、パチンと、きっちり投げ分けられれば変化球も生きてくるんです」

 5月29日のオリックス戦、石川のボールは、「パチン」という表現そのままだった。初回から、インコース、アウトコースへと捕手の相川亮二がミットを構えたところにストレートが見事に決まる。

 そのことで変化球が生きる。T-岡田などは、2打席目までストレートと変化球のコンビネーションに完全に幻惑されていた(ショートゴロと三振)。コントロールミスといえば、北川博敏に本塁打を打たれた1球くらい。6回を投げ8安打3失点という内容に関しては100点満点ではなかったが、最近のオリックス打線の好調ぶりを考えれば上々の出来だったといえる。

 この試合で石川は勝ち投手となった。低迷するチームもさることながら、自身もようやく長いトンネルを抜け出せた。

なぜ勝てなくてもモチベーションを保てたのか?

 3月26日の巨人との開幕戦で黒星がついて以来、2カ月以上勝てなかった。4月は序盤で崩れてしまうことも多かったが、最近の登板では12日のオリックス戦(8回1失点)、19日の西武戦(7回2失点)といずれも終盤までゲームを作った。

 なぜ、石川になかなか勝ち星がつかなかったのか? それは周知の通り、打線の援護があまりにも少なかったからに他ならない。もしかしたら、2009年シーズン終了直後から翌年の開幕投手を確約されていたことや、同年オフに4年の大型契約を結んだことで、心にゆとりを持ちすぎていたのかもしれない。

 しかし重要なのはそこではない。なぜ、ここまで勝てなくてもモチベーションを下げることなく、投げ続けられたのか? である。

 その理由は、'07年に隠されている。

 '02年に新人王に輝いて以来、'06年まで5年連続で2ケタ勝利をマークしていたが、'07年はたったの4勝。およそ2カ月にわたるファーム暮らしの屈辱も味わった。その原因を、石川はこのように振り返っていた。

「プロに入ってから'06年までは、なんとなくやっていた感じでした。『今までどおりにやっていれば10勝はできるだろう』と」

【次ページ】 ’07年の挫折が石川を変えた。

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