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見事に復活を果たした新体操団体。
山崎浩子の改革とフェアリー達の夢。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2012/08/16 10:35

見事に復活を果たした新体操団体。山崎浩子の改革とフェアリー達の夢。<Number Web> photograph by Getty Images

決勝戦での会心の演技直後。目標としていた点数を超えたことで、チーム全体で喜ぶフェアリージャパンのメンバーたち。

 笑顔だった。心からの満足を表すような表情だった。

 8月12日の決勝を終え、7位入賞を果たした新体操日本団体「フェアリージャパン」のメンバーは、晴れやかな顔で試合を終えた。

 そこには、長きにわたった戦略的な強化による成果と、真の危機を乗り越えた時の安堵の表情があった。

 かつて、シドニー五輪で5位となるなどの活躍を見せてきた新体操団体は、2004年のアテネ五輪出場を逃したのをきっかけに、山崎浩子強化本部長のもと方向性の転換を行ってきた。大きな大会のたびに選抜チームを作ることをやめ、オーディションによって選手を選び、長期間の共同生活を送りながら北京五輪まで練習するという方針を採ったのだ。

 この大幅な改革は、北京で五輪出場権を再び獲得するという結果にまで辿り着いた。

 五輪に出場できたことは強化の成果ではあったのだが、結局、北京五輪では決勝に進むことはできなかった。そこで、さらに一歩、強化を進めることとなった。

 その思い切ったプランとは――ロシアでの長期合宿。

 新体操王国の現地で日々練習を重ねることで、一流のノウハウを取り入れようという目的だった。

遠いロシアの地での、長くて辛い共同生活。

 '09年末、あらためてロンドン五輪を目指して選ばれた選手たちは、そのあと、ロシアのサンクトペテルブルクに拠点を移すと、ロシア人指導者をコーチに迎え、練習をスタート。異国での共同生活に、ときに苦しむこともあったが、'10年の世界選手権では団体総合6位、'11年の同選手権では団体総合5位となるなど、着実に地力をつけていき、万全の態勢で臨むはずの舞台が、2012年の夏のロンドンだった。

 ところが、大きなアクシデントが襲う。

 今年5月、北京五輪出場時のメンバーでもあった主力の遠藤由華が左脚大腿骨を骨折する大怪我を負って離脱したのだ。

 団体で演技を行なうだけに、主力の1人がいなくなったことは、コンビネーションなど多くの問題を生じさせる。急きょ、3人の選手を加えて練習し、あらためてロンドン五輪代表メンバーを再考。結果的には、もとからのメンバー6名で固まったが、主軸の抜けた穴をどのように埋められるのかが焦点のひとつとなった。

【次ページ】 大きな危機を乗り越えてつかんだ決勝進出という栄誉。

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