ロンドン五輪探検記BACK NUMBER
トランポリンは“チームスポーツ”!?
上山容弘が仲間に送った笑顔のパス。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTetsuya Higashikawa/JMPA
posted2012/08/09 16:30
北京五輪に続いて2大会連続五輪出場を果たした上山。「この4年間でつちかったもので入賞することができた。これからも、できうる限り競技を続けていきたい」と競技後にコメントしている。
「チーム」とは何なのか?
ロンドンで競泳“トビウオジャパン”やフェンシング男子フルーレ団体のメダル獲得を目にして、思わずそんなことを考えてしまった。
サッカーやバレーボール、ホッケーの代表チームはもとより、一躍その名が知れ渡ったバドミントンの“フジカキ”コンビなどがチームで戦っているということに誰も異論はないだろう。
複数の選手が、同時にひとつのフィールドで、パスを交換したり声をかけあいプレーをしていく。日々の練習でも、お互いの特徴を把握しながら連係を磨き、集団としての成熟度を高めていく……。
そういう在り方がチーム・スポーツだと定義したとすると、競泳のメドレーリレーやフェンシング団体は、「チーム」という概念があてはまるのだろうか。
競泳なら個人のタイム、フェンシングなら個人が獲得したポイントを足すことによって順位が争われる。だが、そこには華麗なパス回しも、前衛と後衛の入れ替わりも、そして正確なトスからの強烈なスパイクもない。サッカーなどとくらべて、プレーをするのが複数であることに変わりはないが、そこには同時性が欠けているのだ。
「駅伝ってチームスポーツなの?」
そんなことを考えているときに、箱根駅伝のことが頭に浮かんだ。
毎年正月のこの一大スポーツイベントを取材しているのだが、あるときサッカー好きの知人にこんなことを言われた。
「駅伝ってチームスポーツなの? 10人のタイムの合計でしょ?」
ドキリとさせられた。
その質問にではない。「あたりまえでしょ!」と答えられなかった自分にだ。
「一緒に練習してきた仲間のために」
「仲間がつないできてくれた襷の重みを感じて走りました」
こういった選手たちの言葉を箱根で毎年耳にしてきた自分にとって、駅伝がチームスポーツであることはあまりにも自明なことだったのだが、うまく説明できなかったのだ。
だが、「チーム」とは何かという問いに、ロンドンで聞いたひとつの言葉がヒントを与えてくれたのだ。
トランポリンで5位に入った上山容弘選手が試合直後に残したコメントだ。