ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
見事に復活を果たした新体操団体。
山崎浩子の改革とフェアリー達の夢。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2012/08/16 10:35
決勝戦での会心の演技直後。目標としていた点数を超えたことで、チーム全体で喜ぶフェアリージャパンのメンバーたち。
大きな危機を乗り越えてつかんだ決勝進出という栄誉。
そんな心配をよそに、フェアリージャパンは見事にこれまで磨いてきた実力を示す。
8月9日からの予選を終えて、全体の8位で決勝に進んだのである。
そして、12日に決勝を迎えた。
最初の種目のボールで、順調な滑り出しを見せる。オペラ『セビリアの理髪師』の曲とともにリズムのいい演技を見せると、予選を上回る得点をマーク。2種目めのリボン・フープでも演技を手堅くまとめ、予選以上のできばえを見せる。2種目ともに27点台をマーク。7位入賞を果たしたのである。
山崎氏は大会の前、遠藤が抜けたあとに選手を加えてメンバー選考を行なったことに触れ、こう語っていた。
「平たんな道よりも苦しいときの方が力が出るということを確信しました。(競争の中で)つかんだポジション、メンバーの座はかけがえのない大切なもの。選手たちにとって大きな自信となった」
その言葉のとおりの演技を、ロンドンで示した。
主将の田中琴乃もこう語っている。
「これまでやってきた中でもいいものを出せました。4年前は悔いが残りましたが、今は喜びに満ちています」
危機を危機とはせず、跳ね返して力強さをつけたからこその決勝進出だった。
「上位の国が遠い背中ではなくなった気がします」
山崎氏は、試合後、このようにコメントしている。
「2種目とも27点に乗せたことは今までないので、力がだいぶついてきたと思います。点数を見ても本当に僅差なので、ロシアは抜けている感じがしますが、上位の国が遠い背中ではなくなった気がします」
7位という結果は、日本が過去最多のメダル数を記録したこの大会にあっては、ささやかな結果であるかもしれない。
しかし、試練を乗り越えてつかんだ、そして新体操日本団体にとって12年ぶりの決勝という舞台でやりきった末の、堂々たる7位なのだ。彼女たちにとって、大きな意義のある成績であり、次の大会へとつながる見事な演技であった。