フェアウェイの舞台裏BACK NUMBER
今年の全米OPはゴルフ史上最難関!!
百戦錬磨のベテラン達はどう戦った?
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雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKoji Aoki/AFLO SPORT
posted2012/06/21 10:30
![今年の全米OPはゴルフ史上最難関!!百戦錬磨のベテラン達はどう戦った?<Number Web> photograph by Koji Aoki/AFLO SPORT](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/b/700/img_6b5ae351c9a24ecf96231f9433006f52297244.jpg)
先にコースアウトしたウェブ・シンプソンはクラブハウスで、妻と子供の動画を見るなどして、最終組が最終ホールに入るのを待った。
USGA(全米ゴルフ協会)のエグゼクティブ・ディレクターを務めるマイク・デービスは開幕前にこう宣言していた。
「我々は全米オープンを1年間でもっとも過酷なテストにしようと考えています。去年はそうはなりませんでしたが」
コングレッショナルCCで行われた昨年は、大会前に降り続いた雨の影響でコースがソフトになり、ローリー・マキロイが大会レコードでの優勝を飾った。ゴルフ界の新たなスター誕生に沸いた大会。人々の記憶には華々しい印象となって刻まれたものの、世界一過酷なトーナメントを自負するUSGAはそれをよしとはしなかった。
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全米オープンは単なるショーやエンターテイメントであってはならない。本来あるべき「GOLF'S TOUGHEST TEST」の姿を取り戻すべく、今年の会場となったオリンピッククラブはかつてないほど難しいコースに仕上げられた。
極限の難コースに世界最高のプレーヤーたちも四苦八苦。
岩のように重たいラフ、コンクリートのように固く締まったグリーン、フェアウェイは限りなく狭く絞られ、自然の傾斜がフェアウェイに落ちたボールさえ容易にラフへと放り込む。グリーンの激しい起伏、容赦のないピンポジションが拍車をかける。
おそらく今年のツアーのみならず、ゴルフトーナメント史上最強のコース。選手は一打打つたびに極限まで神経をすり減らし、見ているこちらまで悲鳴を上げたくなるほどの息苦しさだった。
世界最高のプレーヤーたちは、14本のクラブでこの高く険しい山をどこまで登りつめることができるのか。もはやゴルフは単なるスポーツ、レジャーではなく、人間の精神力の限界を試すようなものへと様変わりしていた。
この過酷な状況下で強さを発揮したのは技術と経験に秀でた熟練の男たちだった。
2日目を終えた時点でタイガー・ウッズが首位に立ち、そのほかにもJ・フューリク、E・エルス、G・マクダウエルといった歴代の全米オープン覇者がいつしか上位に名を連ねていた。
「この大会は一歩一歩進んでいくしかない。普通の試合とは違う。我慢を続けて、今その瞬間のことだけを考える。そしてパーと戦い続けるしかないんだ」
ウッズが言うように、皆が口をそろえて我慢という言葉を口にした。