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決着はグランド・フィナーレへ。 

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西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byMamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

posted2008/10/27 00:00

決着はグランド・フィナーレへ。<Number Web> photograph by Mamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

 ハミルトンが圧勝し、マッサはチームメイトのライコネンに2位を譲られ7点差でチャンピオン争いに踏み止まる……。10月19日に上海で行なわれた第 17戦中国グランプリでタイトルは決まらず、チャンピオン決定は11月2日の今季F1シリーズ最終第18戦ブラジルに持ち越されることとなった。

 ブラジルでハミルトンが自力チャンピオンになるためには、マッサ優勝でも5位以上であれば良く、逆にマッサが逆転するには自らが優勝でハミルトンが6位以下か、2位でハミルトンが8位以下というきわめてきびしい状況にある。

 昨年の最終戦はハミルトン(107点)、アロンソ(103点)、ライコネン(100点)の三つ巴戦で、レース展開はこうだった。スタートでポールシッターのライコネンのチームメイト・マッサが予選2位のハミルトンをブロックする隙に、予選3位のライコネンが2位に浮上。その後方ではアロンソとハミルトンのチームメイト・バトルが繰り広げられ、一瞬接触。先行するフェラーリ勢をキャッチアップすべくハミルトンがアロンソをパスする際にコースオフ。ちょうどその頃からハミルトンのマシンにミッション・トラブルが発生。これが致命傷となって7位がやっと。

 いっぽうライコネンはピットストップでマッサを逆転。この状況でもアロンソが2位に入ればチャンピオンだったが、ライコネン+マッサのフェラーリ・タッグの走りに揺るぎはなく、ライコネンがハミルトン、アロンソを1点差に退けて初のタイトルを奪取。最終戦の逆転チャンピオンは1986年のアラン・プロスト以来21年ぶりという快挙を成し遂げたのだった。

 今年はハミルトンvs.マッサの一騎打ちで、7点差は昨年のハミルトンvs.ライコネンと同じとはいえ状況が大きく異なり、昨年と較べてハミルトンが圧倒的に有利だ。理由は3つある。

 ひとつ目は、アロンソというチーム内でいがみあうライバルがいないこと。2つ目は、追い上げられ方が異なること。昨年のハミルトンは中国でピットレーンへの入り口を曲がり切れずグラベルにスタックしてリタイア。ライコネンが優勝するという敗戦の後に迎えた最終戦だったが、今年は中国でハミルトンがフェラーリ勢をまったく寄せ付けずに勝っただけに、昨年のようなプレッシャーがない。3つ目はマクラーレンのマシンがここ数戦で着実に進歩していて、ウィークポイントであったタイヤに対するきびしさが和らいで来ていること。路面温度が50度を超えることもあるブラジルでは歓迎すべきことであり、今年のブラジルGPは昨年より2週間遅い開催だけに気温が低いはずで、これもマクラーレンには追い風となる。

 対するフェラーリとしては手の打ちようがないが、とにかく予選で燃料を軽くしてでもハミルトンの前に出て、翻弄するしかあるまい。マッサがポールポジションから逃げ、ライコネンがハミルトンを抑えるというような形だ。もしアロンソがハミルトンの前に出れば、これもフェラーリには好材料となる。それでも 5位でフィニッシュすれば戴冠するハミルトンは余裕のレースを展開するはずだ。グランド・フィナーレに相応しい熱戦を期待したい。

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