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大混乱のF1序盤戦を整理し、
欧州での跳ね馬逆襲を待つ。 

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西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2009/04/28 06:01

大混乱のF1序盤戦を整理し、欧州での跳ね馬逆襲を待つ。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

結果だけみると、KERSは勝利に貢献していない。

 さて、グランプリ新傾向のもうひとつのポイントは“2層ディフューザー”と“KERS=エネルギー回収システム”のかかわりである。

 周知の通りフェラーリ、ルノー、レッドブル、BMWら4チームが、ブラウン、ウイリアムズ、トヨタのディフューザー(マシン後端下部の空力部品)が違法であるとし、最終的にFIA国際控訴裁判所の裁決を仰ぐ騒ぎとなった。結果的に訴えられた3チームのそれは「合法」との判決が下ったのだが、面白いことに訴えた4チームのうちレッドブルを除く3チームが、KERS搭載車を積極的に開発して来たチームなのである。この3チームにマクラーレン・メルセデスを加えた4チームがKERSグループだが、これまで4戦で表彰台に上がったKERSユーザーはマレーシアGPのハイドフェルド(BMW)のみ。それもKERSの恩恵というより雨による混乱をうまいタイヤ選定で乗り切った勝負の“アヤ”というファクターが大きく、KERSのアドバンテージが戦績に反映している印象は弱い。BMWとフェラーリが金曜日試走で搭載か非搭載かを比較走行している現状をみると、KERSは未完成品でそれ自体のトラブルがフェラーリ開幕3戦連続無得点にもつながっているのではないかと疑いたくなる。搭載によるマシン・バランスの悪さがタイヤに顕著な悪影響を及ぼしているBMWの例を見ると、KERS戦略の誤りが4戦までのコンストラクターズ・ランキングに顕著に現れているとみていい。大手自動車メーカーゆえのKERS開発力具備が裏目に出たともいえる。

フェラーリの内部改革は着々と進んでいる。

 さて、ヨーロッパ・ラウンドからの見所はどこになるのか? 当然、旧盟主勢力のなんらかの巻き返しは必至で、なかでもフェラーリには注目したい。マレーシアGP直後にレースディレクターのL・バルドセリを更迭したのをはじめ、人事主体の内部改革が始まっており、それが伝統の“お家騒動”に繋がらなければ早期復活はあり得る。バーレーンのライコネンは地道な戦法ではあったが、いまのフェラーリの身の丈に合った6位を得た。表彰台に赤いスーツが見えないグランプリは、色気と華やかさに欠ける。跳ね馬の復活を初夏のヨーロッパ戦に期待したいのだ。

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