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大学野球で新興勢力が躍進中!
明治神宮大会で見た新トレンドとは?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph bySPORTS NIPPON
posted2009/12/06 08:00
横浜市長杯争奪関東地区大学選手権の準決勝で日体大に勝利し、明治神宮大会への出場を決めて喜ぶ上武大・松井雅人捕手と齋藤康樹投手
11月20日に幕を閉じた「明治神宮大会(大学の部)」で目立ったのは、新興勢力の躍進だった。
優勝した立正大は、老舗の「東都大学リーグ」所属と言っても、今年の秋季リーグ戦で創部61年目にして初優勝を飾った新興勢力。春季リーグ戦では最下位に落ち、2部の1位校・専修大との間で入れ替え戦を演じているほどだ。
ちなみに、春2位の強豪・青山学院大が秋は最下位に沈み、2部の1位校・国士舘大との入れ替え戦で2連敗を喫し、25年(52季)ぶりの2部降格に泣いている。
また、春の2部優勝校・専大も最下位に落ち、春の「1部2部入れ替え戦」に続き、秋は3部優勝校・大正大との間で「2部3部入れ替え戦」を演じた(結果は専大が2連勝で2部残留)。
この入れ替え戦の存在が「東都大学リーグ」を強豪の座にとどまらせ続ける原動力になっていることは間違いない。
激しい競争で活性化著しい注目の「関甲新学生リーグ」。
明治神宮大会決勝で立正大と対戦した上武大が所属する「関甲新学生リーグ」にも2部、3部リーグがあり、春2位の平成国際大が秋は最下位に落ち、2部の1位校・関東学園大との入れ替え戦で2連敗して2部に落ちている。
この激しい競争がリーグの活性化に寄与していることは確実で、同リーグに所属している選手ないしはOBは'01年以降、9年連続してドラフト会議で指名を受けている。名前を以下に紹介しよう。
'01年 五十嵐貴章 (投手・関東学園大→JR東日本→ヤクルト7巡)
'02年 小野寺 力 (投手・常磐大→西武4巡)
久保田智之 (投手・常磐大→阪神5巡)
'03年 山崎 敏 (投手・平成国際大→西武自由枠)
'04年 菊地和正 (投手・上武大→日本ハム6巡)
'05年 飯原誉士 (外野手・白鴎大→ヤクルト 大・社5巡)
'06年 高谷裕亮 (捕手・白鴎大→ソフトバンク 大・社3巡)
'07年 平野将光 (投手・平成国際大→JR東日本東北→西武 大・社1巡)
石川俊介 (投手・上武大→阪神 大・社3巡)
'08年 矢貫俊之 (投手・常磐大→三菱ふそう川崎→日本ハム3位)
'09年 松井雅人 (捕手・上武大→中日7位)
加賀 繁 (投手・上武大→住友金属鹿島→横浜2位)
数年後のドラフトが楽しみな逸材が育ちつつある各リーグ。
今年の上武大には中日に7位指名された松井以外にも、安達了一(4年・遊撃手)、前田憲麻(3年・三塁手)、加藤翔平(1年・中堅手)という好素質の選手がいて、数年後の指名を待っている。リーグの勢いが感じ取れると思う。
この上武大に明治神宮大会代表決定戦(横浜市長杯)2回戦、2対3で惜敗した東京国際大(東京新大学リーグ)も数年後に躍進するチームだと思う。監督が元広島監督・古葉竹識、投手コーチが元ヤクルトなどで活躍した浅野啓司で、ピンチになると監督ではなく浅野コーチがマウンドに行ってナインに何ごとか授ける姿はプロ野球を見ているようで面白い。なお、同校の1番打者・内山勇輝(4年・中堅手)は上武大戦の第3打席でバント安打を決めたが、このときの一塁到達が3.52秒という猛烈な速さだった。古葉監督が赤ヘル軍団の復活を大学球界で再現しようとしているようにも見え、非常に興味深い。