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斎藤佑樹を筆頭に好投手が揃う
大学野球“花の88年組”を紹介!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byTamon Matsuzono
posted2009/12/20 08:00
先発・斎藤、リリーフ・大石が早稲田の必勝パターン。主将となった斎藤は最後のシーズンを連覇で飾れるか
'09年ドラフトは1位指名の6人が高校生で、大学生、社会人はそれぞれ3人ずつ、また2位指名は高校生5人、社会人4人、大学生3人と完全に高校生主体の年だったことがわかる。それが'10年になると立場は完全に逆転するのではないかと言われている。'06年夏の甲子園大会の優勝投手・斎藤佑樹(早実)を筆頭に、現在大学3年生の投手が大挙してプロに入団する可能性があるのだ。
斎藤は最近、男性週刊誌などで「力の限界」のような書かれ方をされることが多いが、もともと力で圧倒するタイプではないので、結果が出ないとマイナスに評価されやすい。結果が出ない、と書いたが、これまでの3年間で積み上げた通算成績は25勝9敗、防御率1.60と立派なもので、リーグ優勝3回、大学選手権優勝1回に貢献し、ベストナイン3回、最優秀防御率1回は超一流の成績と言って過言ではない。
スーパーヒーローが好選手を呼び込む。
1人の突出した同世代のスーパーヒーローが存在すると、後を追うように続々と好選手が輩出されるということがある。イチロー(マリナーズ)の場合なら中村紀洋(楽天)、小笠原道大(巨人)、石井一久(西武)、三浦大輔(横浜)、黒木知宏(元ロッテ)など、松坂大輔(レッドソックス)の場合なら藤川球児(阪神)、和田毅、新垣渚(ソフトバンク)、森本稀哲(日本ハム)、東出輝裕(広島)など枚挙にいとまがない。斎藤もそういう存在になれる可能性がある。
斎藤世代の大学生には次のようなドラフト1位候補がいる。
大石達也、福井優也(早大)、加賀美希昇(法大)、西嶋一記(明大)、澤村拓一、山崎雄飛(中大)、乾真大(東洋大)、南昌輝(立正大)、大野雄大(佛教大)、榎下陽大(九州産業大)、川瀬弘晃(日本文理大)、森山一茂、柳沢一樹(東北福祉大)
以上に挙げた13人はすべて投手で、イチロー世代や松坂世代にくらべると野手の面でやや物足りないが、先行してプロ入りしている同世代には坂本勇人(巨人・遊撃手)、堂上直倫(中日・内野手)、田中大二郎(巨人・外野手)など一流の成績を挙げている野手、あるいは飛躍が期待される野手がおり、視野を広げれば物足りなさは吹き飛ぶ。
なお、プロ組の投手には田中将大(楽天)、前田健太(広島)、大嶺祐太(ロッテ)がいる。プロで実績を残している彼らをひっくるめて“斎藤世代”あるいは“ハンカチ世代”と言うのは田中たちに対してあまりにも失礼なので、ここはあくまでも“88年組”とおだやかにまとめたい('88年は彼らの生年である)。