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“テレビに映らない”大谷翔平「内出血と青アザが」報復死球騒ぎも高笑い…番記者が「7階から投球練習観察」で気づく“エンゼルス時代との違い” 

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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photograph byJayne Kamin-Oncea/Getty Images

posted2025/07/01 17:02

“テレビに映らない”大谷翔平「内出血と青アザが」報復死球騒ぎも高笑い…番記者が「7階から投球練習観察」で気づく“エンゼルス時代との違い”<Number Web> photograph by Jayne Kamin-Oncea/Getty Images

死球騒動もあった中でマウンドに立つ大谷翔平。番記者が気づいたこれまでとの“大きな違い”とは

 試合開始20分前になると、左翼ポール奥に位置するドジャース側のブルペン周辺は、大谷の投球練習を一目見ようと、群集がごった返していた。あらゆる動線に規制線が張られ、通路に立ち止まることもできない。

 5階から見ようとすると警備員に制されたため、7階へと向かう。ここまで来ると人も少なく、大谷のブルペンをほぼ頭上から“観察”するという、ある意味で貴重な機会に恵まれた。

 これまでとの大きな違いは――投手板の使い方だ。先に22球を投げたノーワインドアップ時は投手板の真ん中を踏み、インターバルをとった後のセットポジション時の9球では一塁側を踏んでいた。走者の有無に関わらずセットポジションだったメジャー移籍後(エンゼルス時代)は主に投手板の真ん中を踏んで投げていた。

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 先に現地入りしていたカメラマンによれば、投手復帰戦だった16日のパドレス戦も同様で、私自身がバックネット裏の5階記者席から確認したこの日の試合も同じくだった。何よりブルペンを頭上から“観察”できたことで、マウンドに残るスパイクの足跡や投球軌道の違いはこれまで見たことがなく、新鮮だった。

投げては無失点、打っては26号、試合後質問は…

 一般論として、投手板の真ん中を踏んで投げると体重移動がスムーズになり球の勢いが増す。一塁側を踏んで投げると、右打者への内角球、左打者への外角球の角度をつけやすくなる効果があり、この日は投げなかったが――今季からブルペンで多投しているシンカー(ツーシーム)とも好相性。また、自然と一塁側に開きやすくなり、腰の負担軽減効果も期待できるという。

 今季取り入れたノーワインドアップは「(ミットまでの)ラインが出ているかどうかが一番大事なところ」と話していたが、なぜ有走者時と無走者時で投手板の位置を使い分けるのか。感覚的なものなのか。どうやら左右の打者で使い分けているわけでもない。

 この日の大谷は投げては2三振を奪って1回無安打無失点、打ってはナ・リーグ単独トップに返り咲く8試合ぶりの26号2ランなど2安打5打点で勝利に貢献した。

 ただし取材対応は、米中継リポーター3問、米メディア3問、日本メディア3問の計9問、時間にして6分間。私は最前列で「ブルペ……」、「きょうは……」など声高に叫んだが、激しい質問争奪戦に競り負け、ジ・エンド。次回取材対応時に再チャレンジするしかない。

 投手板の使い分けにどんな意図があるのか――疑問は残ったが、大谷の引き出しの多さや、変化を恐れない向上心がここまでの復活劇を支えていると実感した一幕だった。〈つづく〉

#2に続く
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