テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「ベッツと打順変更に不満ない?」米メディアの質問に大谷翔平がサラリと「9番でもいいよって」二刀流ホームランだけでない“超一流”ぶり
posted2025/08/15 17:00
3戦連続ホームランのツインズ戦後、取材に応じる大谷翔平
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
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Naoyuki Yanagihara
U-12米国代表スタッフが語る“オオタニの特異性”
《7月21日 vsツインズ(ドジャースタジアム)◯5-2》
試合前練習を見るためにドジャースタジアムのグラウンドに降りると、見慣れない少年たちが三塁ベンチ上から熱心に練習を見学していた。
すぐに察しがついた。子供たちはチームUSAの帽子、ポロシャツを着用していた。「U-12野球ワールドカップ」に出場する12歳以下の米国代表の面々だった。
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同代表は13年にアンソニー・ボルピ(ヤンキース)、14年にはポール・スキーンズ(ピッツバーグ・パイレーツ)、「PCA」の愛称で知られるピート・クローアームストロング(シカゴ・カブス)ら今をときめくメジャーリーガーを多数輩出してきた。早速、チームディレクターに「このチームのベストプレーヤーはどの子ですか?」と聞くと「全員が本当に良い選手ですね」と苦笑いを浮かべていた。
無理もない。続けて「大谷選手の影響で二刀流選手が増えていますか?」と質問をすると「この年齢の選手はほとんどの選手が投打両方できます。それは日本、台湾、キューバ、パナマなども同じでしょう。年齢を重ねるにつれてポジションが絞られていきます。大谷選手は特別な才能を持っていて、同じような選手はもう出てこないかもしれません」という答えが返ってきた。
大谷の影響で二刀流選手が増えているという勝手な想像を膨らませて質問したわけだが、少年野球の世界においてこの質問はナンセンスだった。同ディレクターが言うように大学、マイナー、メジャーと上のカテゴリーに進んでも投打を続けたいという思いをもった選手は増えているのかもしれない。5年後、10年後に答えが出るのか、もしくは出ないのか。同ディレクターが語ったように、大谷のような二刀流選手はもう出てこないかもしれない。大谷によって扉が開かれたのは確かだが、やはり現場の声を聞くことが大事だと痛感した。
12歳以下の米国代表のメンバーはこの日の試合を見ることはできず、練習後にロサンゼルス空港近くに移動し、翌朝に決戦の地・台湾へ出発したという。尚、その後、8月3日の決勝戦で日本代表を下し、優勝を飾っている。未来のメジャーリーガーたちの動向を今後も見守っていきたい。
投打同時出場日の混雑ぶりはすさまじい
大谷がグラウンドに登場したのは、子供たちがグラウンドを去ってから随分経った試合開始30分ほど前だった。

