テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
“テレビに映らない”大谷翔平取材ウラ話「人生で一番よ」日米300号球キャッチ女子大生は“オオタニに憧れる強打者”…ロバーツ監督も祝福
posted2025/07/02 17:03

コロラドの地で日米通算300号を放った大谷翔平。ホームランボールをキャッチした女性を含めてストーリー満載だった
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
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Icon Sportswire/Getty Images
Uber運転手「オオタニのプレー…生で観たかったなあ」
《6月23日 移動日》
ロサンゼルス国際空港からデンバー国際空港まで飛行機で約2時間30分。「大谷とデンバー」といえば、2021年に初出場したオールスター戦が真っ先に思い浮かぶ。当時はまだ新型コロナウイルスの影響は色濃く残っていたが、1年半ぶりの米国出張が実現した時の喜びはもちろん、大谷からオンラインではなく直接、話を聞ける感慨深さは今でも鮮明に覚えている。
2023年6月23日に日米通算200号を達成した時は別の記者が取材していたが、あと1本に迫った日米通算300号は現地で取材できそうだ。ロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドは、標高1マイル(約1600メートル)に位置しており、通称は「マイル・ハイ」。高地で気圧が低く空気抵抗も少ないため、打球飛距離が伸びる「打者天国」「投手の墓」と呼ばれる。記録達成はこの球場になる――と誰もが確信していた。
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《6月24日 vsロッキーズ(クアーズ・フィールド)9-7◯》
試合開始5時間前の午後1時頃。配車アプリ「Uber」を利用し、宿泊先のホテルからロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドまで向かった。迎えに来たのは少々コワモテでロン毛の40代の男性だった。どこかぶっきらぼうで雰囲気も決して明るくない。ただ、「Uber」では送迎先を事前に入力しているため、自身の名前さえ伝えればその後の会話はほぼ必要ない。無言のまま球場で降ろされると思っていた。
ところが近づく頃になって、その運転手から突如、声をかけられた。
「大谷翔平を見に来たのか?」
驚いたが「日本メディアで大谷の取材に来た」と伝えると、その運転手は急に興奮気味に話した。
「今年のロッキーズの成績は酷いけど、この3試合だけは観たいと思う試合だ。家族の予定があって行けないが大谷翔平のプレーは生で観たかった」
歴史的歩みはもはや、本拠地もビジターも関係ないと実感した。
球宴でも監督…ロバーツが口にした「YesとNo」
試合前のロバーツ監督の囲み取材では、前日聞きそびれた質問をぶつけた。以下、ロバーツ監督とのやり取りだ。