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「寝ていいと言われたら、いくらでも寝られます」大谷翔平が明かした“12時間睡眠”の秘訣「練習量を減らすのも、ひとつのチャレンジかなと」
posted2024/09/05 17:02
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
Nanae Suzuki
第3回は、初のメジャーMVPを獲得した2021年シーズン中に明かした「睡眠の取り方と打率、盗塁の意識」についてーー。《全3回の第3回/第1回、第2回も公開中》
リスク覚悟で試合に出続けた?
ーー大谷さんは「15勝、30本」という数字を残すためには技術のほかに登板数や打席数の絶対量が必要だと仰っていました。試合数を増やせれば数字的な伸びも高くなると......もしかして 今年は、二刀流をこの先も続けるためにケガのリスクも覚悟の上で試合に出続けようと考えてきたんですか。
「うーん、どうなんですかね。もちろんケガをせずに何十年とプレーできたらそれが一番いいんだろうなとは思いますけど、でも、どう考えても60歳までできるわけないじゃないですか。だったらケガをしないようにやめておくか、ケガをするかもしれないけど出るか、そこをどう考えるかというのは個人個人で違っていいと思うんです。僕はそこについては、1年1年、出し切ることを一番に考えています。出し切った上で、できる限りの体調管理をしながら長く続けるというのが、僕がプロとして大事にしたいところですから。ケガばっかりを怖がってもしょうがないし、1年間、出し切るためにどうするかということが根本的に大事なところかなと思います」
ーーケガを恐れて試合を休みながらのシーズンとなると、二刀流の最大値が見えてこないということはありませんか。
「実際、まだ1年間、中5日のローテーションで回っているわけではないんでね。開幕直後は間隔を空けてもらってましたし、シーズンを通しての中5、中6で回ってきたのとはまだ違うのかなと思います。それでも今年1年、こうやって2つで出られるだけ出てみて、案外できるな、ということが自分でもわかりましたし、チームとしてもそれがわかったと思うので、そこがひとつ、大きなところだったかなと思います」
ーーもともと大谷さんは、ピッチャーとして登板前日に味わう独特の緊張感が好きで、そのための心の準備をするために、休むなら登板翌日より前日がいいと仰っていました。それが6月にはオークランドのデーゲームにDHで出てホームラン、遠征から戻った翌日のホームゲームで先発。その試合で6回を1点に抑えて勝って、その次の日の試合ではDHとして1試合2ホームラン。気持ちを作るはずだった前日をどう過ごす工夫をされたんでしょう。
「工夫なんてまったくありません。何て言うんだろう......もう、バッターだから、ピッチャーだからという感覚がないんです。もちろんピッチャーのときのほうが緊張はしますけど、それはゲームが始まる1時間前くらいからかな。それまでは何も変わりません。球場でゆっくりしてますよ」
練習量を減らすのも“ひとつのチャレンジ”
ーー今、ゆっくりしていると仰いましたが、その“ゆっくり”も今の大谷さんにとっては大事な時間なんじゃありませんか。