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プロ野球「超投高打低」異常事態の象徴…レア記録のはずが4年で14例「100球未満完封=マダックス」の背景〈OPSは衝撃的な急落〉 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/06/25 11:00

プロ野球「超投高打低」異常事態の象徴…レア記録のはずが4年で14例「100球未満完封=マダックス」の背景〈OPSは衝撃的な急落〉<Number Web> photograph by JIJI PRESS

いわゆる「マダックス」を達成した隅田知一郎。プロ野球の「投高打低」を象徴するスタッツとなっている

 筆者は10年ほど前、先日亡くなった清川栄治さんに「先発投手の投球の組み立ての基本は何ですか?」と聞いたことがある。広島、オリックスなどで名投手コーチとして鳴らした清川さんは「1回15球を目安に球数を見ています。そのペースで投げることができればOKですね」と話した。

 1回15球なら7回105球、これが投手の合格ラインなのだ。マダックスは9回99球だから1回11球、打者にファウルで粘られれば、すぐにオーバーする。いかに難易度が高いかがわかる。

2018~20年は一度もなかったが…ここ4年で頻発

 従来、マダックスは年に1~2回達成される程度のレアな記録だった。しかし近年は頻発している。

〈2015年から今年までのNPB公式戦でのマダックス一覧〉
・2015年

 8月11日/山中浩史(ヤ)広島戦96球5安1四2振
 8月15日/西勇輝(オ)ロッテ戦95球3安2四8振
・2016年
 3月30日/美馬学(楽)ロッテ戦96球3安0四2振
 4月6日/小熊凌祐(中)DeNA戦93球1安1四5振
・2017年
 4月14日/金子千尋(オ)ソフトバンク戦92球2安0四5振
・2021年
 4月28日/山本由伸(オ)楽天戦96球3安1四5振(引き分け)
 5月15日/小川泰弘(ヤ)中日戦99球3安0四6振
 5月16日/早川隆久(楽)オリックス戦98球3安2四8振
 10月2日/髙橋遥人(神)中日戦97球5安0四7振
※11月10日/奥川恭伸(ヤ)巨人戦98球6安0四9振(CSでの達成)
・2022年
 4月16日/上茶谷大河(De)ヤクルト戦91球5安0四4振
 4月19日/加藤貴之(日)楽天戦90球3安1四6振
 5月11日/東浜巨(SB)西武戦97球0安2四6振※ノーヒットノーラン
・2023年
 4月30日/東克樹(De)中日戦97球4安0四6振
 10月1日/大貫晋一(De)中日戦94球2安1四3振
・2024年
 4月29日/ヤフーレ(ヤ)巨人戦94球3安0四5振
 6月12日/伊藤大海(日)中日戦98球3安0四7振
 6月12日/隅田知一郎(西)広島戦99球4安2四4振
 6月16日/石田裕太郎(De)西武戦95球4安0四6振

 19例だが、2015年から17年の3年で6例あったのちに18年から20年までは0。そして2021年から24年までの3年半で13例(CSでの奥川を入れれば14例)と激増している。

伊藤大海と隅田が同日達成は“58年ぶりの異常事態”

 そして今年はわずか2カ月半の間に4例、6月に3例、しかも6月12日には西武の隅田だけでなく日本ハムの伊藤まで記録している。さらに6月16日には、昨年のドラフト5位、石田裕太郎がデビューわずか2試合目でマダックスを達成した。

【次ページ】 マダックス増加とともに見逃せない「OPS急落」

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