「岩井（俊介・名城大）は、しなやかな割にズドーンというボールで、伸びというより球の強さがあって、少々甘いところに行ってもファウルになるんです。常廣（羽也斗・青学大）はボールの伸びがすごかったですね。球が落ちずに最後までキレイに伸びるんです。キャッチボールから違うなと思ったのですが、そういう感触のピッチャーを受けたことが今までなかったので衝撃でした。総合的に凄いと思ったのは武内（夏暉・國學院大）。ツーシームとか、受けてみて打ちにくいと感じる典型的なピッチャー。右も左も苦にしないと思います」

「ドラ1候補」のライバル捕手には特別な思いも…？

　様々な投手のボールの感触を噛みしめる中で、やはり同じ捕手の進藤勇也（上武大）には特別な思いで視線を送っていた。

「進藤のいいところは盗みたいと合宿からずっと思っていました。ブロッキングのうまさとか、練習のこととか……。プレーに関して色んな話もできましたし、それをリーグ戦に生かすこともできました」

　リーグ優勝を決めて1週間後、やってくる運命の日。4年前を振り返れば、胸を張れる自分が今はいる。

クレバーな頭脳も売りの有馬　©Fumi Sawai

「プロに近いピッチャーのボールを受けてきて、自分のキャッチングやブロッキングなどの技術はついたと思います。ディフェンス面でしっかり戦っていける力はついたし、1試合を通してもゲームメイクも出来るようになったと思っています。

　この選手がいいと言われるより、大事な試合を任せられる捕手が理想です。ここ最近、プロで1人の正捕手が140試合スタメンマスクを被る、というのは少なくなっていると思うんです。昔はそういった捕手の方はたくさんおられましたよね。今だとヤクルトの中村悠平捕手のように、首脳陣はもちろん、選手やチーム内から信頼される捕手になりたいです」

　高校、大学とチームの支柱となってきた。さらに上の世界でも、そんな存在になり得る空気をまとい、クレバーさも備えた女房役。クールな瞳の向こうに待つ未来へ。心と技術の準備に、今は余念がない。