「久保田さんは常に一歩先にいる存在でした。自分が入学するまでにも色んな経験をされていましたし、見て学ぶことは多かったです。身体も大きかったですし、中軸を打てるパワーもある。その久保田さんからレギュラーを獲ろうと思うと、パワーでは勝負にならないと思ったんです。でも、久保田さんがいたことで自分はこうしなきゃいけないとか、こう変わっていかなきゃいけないとか、色んなことを考えさせてもらえた。久保田さんから何かを与えられたのではなく、多くのヒントを導き出させてもらいました」

　久保田がスタメンマスクを被る試合で、有馬はサードを守ることもあった。その後、学年が上がると、有馬がマスクを被る機会も増えていった。その時は久保田が三塁を守り、有馬のリードを見つめていた。

入学当初は木製バットに苦労したという打撃面だが、大学4年間で中軸を打つまでに成長した　©Fumi Sawai

「自分のリードに関して、久保田さんに意見を求めることもありました。当時、久保田さんもドラフト候補として注目されていて、“どこを見られているか分からないよ”と、言われたんです」

　普段から出来る限りのことをしっかりやる。ベースカバーひとつでも、最後までやり通す。当たり前のことだが、大学生になるとどうしても高校生の時ほど徹底できないこともある。それでもひとつひとつのプレーに心を研ぎ澄まし、精度を高めることを心掛けた。

大学では”プロ注目”の後輩投手との出会いも

　久保田が卒業後は正捕手として投手陣を支えてきた。

　2年秋からマスクを被る機会は増えていたため、3年生になっても特別に何かが変わったとは感じなかった。それでも試合経験のある自分が中心にならないといけないことは確かだった。

関大入学後は2年秋からスタメンマスクに。有力な投手陣を相手にタクトを振るってきた　©Fumi Sawai

「先輩達が抜けてスタメンがガラッと変わったのがその年で、経験していた選手が自分を含めて何人かはいましたが、3年生に向けて（経験者が少ない状況へ）の準備はしてきたつもりです」

　2年冬に大学日本代表候補合宿に選出された。

　だが、3年になるとケガなどで思うようにプレーできない時期もあった。そんな中、来年のドラフト上位候補として注目されている1年下の本格派左腕・金丸夢斗（3年）の台頭も、有馬の高い意識をさらに強固にした。

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