「入学した頃からいいピッチャーだと思いましたが、自分がその良さをいかに引き出すか。金丸はどうしても無理してしまうタイプのピッチャーなんです。将来がある選手でもあるので、その辺りを常に気に掛けてきました。自分も下級生から経験してきて先輩に気を遣っていただいたので、今度は後輩に何か還元できればと思ってやってきました」

　今では最速150kmを超えるストレートを武器に、三振も奪える最強左腕として関西学生野球に君臨する存在となっている。ただ、それだけ存在感を示すようになると、どうしてもチームが“金丸頼み”になりがちだ。有馬は4年生になるとキャプテンとなり、より一層“フォア・ザ・チーム”の気持ちも強くなった。

「相手打者の対策などもしっかり考えて、特にこの秋は春のケガから復帰した金丸の負担を少しでも軽減できるようにやってきました。今年は自分のことを考えすぎず、自分の結果よりもチームの勝利が優先。捕手ですし、そういう立ち位置にいるからこそそういう気持ちがチームの勝利に直結してくる。自分のヒットよりもチームの勝利を、というところを掲げてやってきました」

高校時代の”元相棒”は一足先に楽天に入団

　何より、有馬にはもうひとつ発奮材料があった。

　近江高校時代にバッテリーを組んだ林優樹が、昨秋のドラフトで楽天から6位指名を受けた。自分より一足先にプロの世界に飛び込んだかつての“相棒”の存在も、有馬の背中を押してくれる。

高校でバッテリーを組んだ林は昨秋ドラフト6位で楽天へ。今夏のフレッシュオールスターにも出場　©JIJI PRESS

「社会人の時から一気にスピードがついて、プロに入ってから150kmも出していましたよね。一気に速くなって体の制御が難しくなったんじゃないかという心配もあります。僕が高校時代に受けていた時はコントロールが良くて、コーナーに130km行くか行かないかのボールをきっちり投げ分けられるピッチャーでした。もともと強気なタイプでしたけれど、スタイルを変えてさらにいいピッチャーになったなと思います」

　この4年間、有馬も多くのスキルを身につけた。中でも今夏、選出された大学日本代表では世代を代表する多くの投手の球を受けたことで様々な見方ができるようになったという。

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