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七冠・藤井聡太新名人20歳「名人という言葉にふさわしい将棋を」、渡辺明らトップ棋士の“藤井将棋評”「そこまで行くことが…」
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by日本将棋連盟
posted2023/06/02 11:04
名人戦第5局での藤井聡太竜王。新名人獲得、七冠達成の偉業を20歳にして成し遂げた
藤井さんと戦うことが1つのモチベーションに
<名言2>
最近は〈藤井さんと棋戦で当たること〉自体が大変になってきているんです。そこまで行くことが1つのモチベーションになっています。
(高見泰地/NumberWeb 2023年2月25日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/856582
◇解説◇
藤井聡太と戦える棋士が限られている――という見立ては、歴代の大棋士や若手など世代間を超えて共有されつつあるようだ。それを藤井と近い世代で実感しているのは高見泰地七段(29)だ。
「たかみー」の愛称でファンも多い高見は2017年、初代「叡王」の座に輝いた一方で……順位戦ではなかなか昇級を果たせないなど、本人の中で忸怩たる思いを抱えていた。しかし2022年度には銀河戦で藤井と2度対局するなど、自身の実力を試す機会が来た。結果は両局とも敗戦に終わった。しかし高見はこのようにも話している。
「藤井さんが“本当にスゴい”と自分自身が気づけたのは、ここ2、3年のことだと思うんです。それが改めてきちんと分かっただけでも、心の底からよかったと」
実際、今年3月に行われた棋王戦第3局で大盤解説会での解説を務め、画面に評価値が表示されない状況ながら逆転に次ぐ逆転の名局を的確に読み続けた。さらに名人戦第5局では朝日副立会を務め、囲碁将棋TVのYouTubeでも分かりやすい解説をするなど、彼もまた藤井に触発されて将棋の真髄を見ようと研鑽に励んでいる。
渡辺明という稀代の棋士が立ち向かった“藤井将棋”
<名言3>
藤井聡太七段(当時)とも、いつか対戦するんでしょうね。彼も最初は挑んでいく立場なわけですが、上の世代が粘らないと勝負として面白くならないですから。
(渡辺明/NumberWeb 2023年5月2日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/857440
◇解説◇
藤井聡太という昇り竜の棋士と、タイトル戦の舞台でだれよりも数多く向き合ってきたのは、渡辺明名人だった。藤井にとって初めてとなる八大タイトル戦だった2020年の棋聖戦に始まり、翌年の棋聖戦、王将戦、棋王戦、そして今回の名人戦。さらに朝日杯を含めればこれだけ頂上決戦で対戦してきた人物はいない。