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旧将棋会館の娯楽室は“堕落室”?「棋士+雀士の二刀流」鈴木大介九段、大山康晴十五世名人も熱中…“将棋と麻雀マル秘エピソード”

posted2023/05/30 06:00

 
旧将棋会館の娯楽室は“堕落室”?「棋士+雀士の二刀流」鈴木大介九段、大山康晴十五世名人も熱中…“将棋と麻雀マル秘エピソード”<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

棋士と雀士の二刀流プロになることを決断した鈴木大介九段(左)

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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Sankei Shimbun

 鈴木大介九段(48)が5月5日付で日本プロ麻雀連盟に入会した。1999年に竜王戦で挑戦者になり、NHK杯戦で優勝、順位戦でトップのA級に4期在籍などの実績を挙げた鈴木九段は、今後はプロ棋士とプロ雀士の「二刀流」で活動していくという。麻雀プロになった経緯、昔から麻雀好きが多かった棋士たちの珍妙なエピソードなどを、田丸昇九段が紹介する。

「将棋の成績が落ちるのは自分のプライドが許さない」

 鈴木九段は若い頃から麻雀に親しみ、麻雀の愛好家たちの間では名うての強豪として知られていた。一流の麻雀プロが競う「Mリーグ」を映像で観戦し、専門誌『近代麻雀』を愛読していた。2019年にはタイトル戦の「麻雀最強戦」に著名人枠で出場し、見事に優勝した。それをきっかけに、趣味ではなく競技としてやりたいと思い、麻雀プロを目指す気持ちが高まったという。

 鈴木は日本将棋連盟の常務理事を3期6年にわたって務めているが、今年6月上旬での任期満了に伴う退任をすでに表明していた。そして、麻雀プロ団体のひとつの「日本プロ麻雀連盟」への入会を希望し、麻雀連盟の会長との面接などを経て4月に入会が決まった。

 鈴木は「棋士になって29年。将棋一本でやってきましたが、近年はマンネリ感がありました。麻雀プロになることで、将棋への刺激になればと思っています。今後、将棋の成績が落ちるのは自分のプライドが許しません。麻雀と両方で勝たなければ、結果が出たことになりません」と、抱負を力強く語った。つまり「転職」ではなくて「兼業」で、将棋と麻雀を両立させる決意だという。

 将棋界ではプロ棋士になれば、将棋連盟から所定の基本給や対局料を得ることができる。麻雀プロは、所属する団体からの給料はなく、賞金やイベント出演で報酬を得る。超一流雀士や人気女性雀士だと、年収は1000万円を超えるそうだ。ただプロ雀士の多くは250万円以下または無収入で、麻雀を専業にする人は少ないという。

広瀬八段いわく「危なそうな牌を切っていく」

 鈴木は、競技麻雀の最高峰であるプロリーグの「Mリーグ」(8チーム各4人・計32人)への参戦に意欲を燃やしている。加入するにはかなり難関だが、実力だけでなく知名度も加味されるので、可能性はあるようだ。

 鈴木の麻雀の打ち方について、日本プロ麻雀連盟の会長は「破壊力があり、高打点を目指して攻め続ける」と評した。棋士で麻雀仲間の広瀬章人八段は「リーチされても読みを入れて、危なそうな牌を切っていく」と語った。ちなみに、鈴木の好きな上がりは「タンヤオ」と「ホンイツ」だという。

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