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投手・大谷翔平はすでに“日本史上最高”か? 高卒3年目で「投手3冠」、その後の驚異的成長を考えると…《ダルビッシュ&山本由伸と比較》
text by
太田俊明Toshiaki Ota
photograph byGetty Images
posted2022/10/11 11:03
メジャー5年目の2022年シーズンは、投手・大谷翔平にとって大きく飛躍した年だった
メジャー移籍決定時の年齢は、松坂26歳、ダルビッシュ25歳、田中25歳に対して、大谷は23歳。しかも、日ハムでの最終年は足の故障でほとんど登板できなかったため、日本での投手としての実働はわずか4年にすぎない。
メジャーで5年を戦い、それまでのパワー投手から横の変化で打者を幻惑する技巧派投手の技術までモノにした大谷。それも、パワーが衰えてやむなく技巧派に転身したのでなく、“引き出し”として横の変化を習得した点に、そのスゴさがうかがえる。つまり、技巧派に見せながらも、突如160キロを超える速球を投げ込むパワー系の投球を織り交ぜられるのだ。
大谷は日ハム時代から明らかに進化している。ではもし大谷が来季、日本で投げたらどんなシーズン成績を残すだろうか。
現NPB最高・山本由伸と比べてみる
最速164キロの速球、160キロを超えるスピードで横に43センチ、縦に71センチ動くシンカー、140キロのスピードで横に48センチ滑るように曲がるスライダー、速球と同じ軌道から突然落ちる140キロ超のスプリット……。これらのボールを変幻自在に操るような投手は、メジャーにもほとんどいない。
そこで参考になるのが、現在、NPB最高の投手の一人で、今季も最多勝、最高勝率、最優秀防御率、最多奪三振のタイトルを獲得した山本由伸(オリックス)との比較だろう。山本の今季の成績は以下である。
【山本】登板26 完投4 完封2 勝敗15ー5 勝率.750 投球回193 奪三振205 奪三振率9.56 被安打137 与四球42 防御率1.68 WHIP0.93 ※今シーズン
上述した大谷のNPB時代のベストシーズン、2015年の成績と同じ15勝5敗。プロ3年目の大谷は、完封数、奪三振率、被安打率で今季の山本を上回り、逆に山本は投球回、与四球率、防御率、WHIPで勝っている。
与四球の少なさを含めて点を与えない投手としての完成度は山本が上で、打者圧倒度では大谷が勝っていると言えるだろう。2015年の高卒3年時に既に現在の山本に勝る打者圧倒度を持っていた大谷は、それから7年を経て、さらに進化を遂げている。メジャーの打者をも翻弄する、パワーと技巧を兼ね備えた現在の大谷が、NPBで1シーズンを戦ったらーー。
シーズン42勝をあげた現チャンピオン「1961年の稲尾和久」をおびやかす、最高の好敵手になるに違いない。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。