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投手・大谷翔平はすでに“日本史上最高”か? 高卒3年目で「投手3冠」、その後の驚異的成長を考えると…《ダルビッシュ&山本由伸と比較》 

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太田俊明

太田俊明Toshiaki Ota

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posted2022/10/11 11:03

投手・大谷翔平はすでに“日本史上最高”か? 高卒3年目で「投手3冠」、その後の驚異的成長を考えると…《ダルビッシュ&山本由伸と比較》<Number Web> photograph by Getty Images

メジャー5年目の2022年シーズンは、投手・大谷翔平にとって大きく飛躍した年だった

 大谷は昨季まで、160キロを超えるストレートと、ストレートの軌道から鋭く落ちるスプリットを武器とするパワーピッチングを見せてきた。しかし、特に今季中盤からは、曲がり方の異なる数種類のスライダーと、スライダーとは逆方向に曲がる高速シンカーという横の変化で打者を翻弄する技巧派に進化。パワーと技巧を兼ね備えた万能の投手として、来季のさらなる飛躍に期待したい。

いま振り返る日本時代。ベスト年は「3年目」

 さて、NPB時代の投手・大谷のベストシーズンはいつか、と聞かれれば、開幕投手を務めた2015年になるだろう。高卒3年目のこの年、最多勝、最高勝率、最優秀防御率の投手3冠を達成。同年の成績は、同じく高卒3年目に初めて開幕投手を務め、最多奪三振、沢村賞、リーグMVPを受賞した日ハムの先輩・ダルビッシュ有(パドレス)とよく似ている。二人の入団3年目の成績を比較してみよう。

◎大谷翔平&ダルビッシュのプロ3年目成績

【大谷】登板22 完投5 完封3 勝敗15ー5 勝率.750 投球回160.2 奪三振196 奪三振率10.98 被安打100 与四球46 防御率2.24 WHIP0.91 ※2015年シーズン

【ダルビッシュ】登板26 完投12 完封3 勝敗15ー5 勝率.750 投球回207.2 奪三振210 奪三振率9.1 被安打123 与四球49 防御率1.82 WHIP0.83 ※2007年シーズン

 勝敗数は15勝5敗とまったく同じ。それでもダルビッシュの26登板で投球回207.2回という数字は、1登板当たりほぼ8回を投げている計算になり、その安定感は群を抜いている。投球回、奪三振数、与四球率、防御率、WHIP でもダルビッシュが上回っており、大谷は奪三振率のみ勝った。

 大谷は、この時点で162キロというNPB公式戦における最速記録を樹立するなど、投手としての才能は誰もが認めていたが、高卒3年時の投手としての完成度は、ダルビッシュが上と言えるだろう。

 さらに ダルビッシュは、日本最終年となった2011年にこの2007年を上回る成績をあげている。NPBにおけるベストシーズンの成績を比較するという当企画の趣旨からは、ダルビッシュが大谷を上回っており、さらにそのダルビッシュを破っている現チャンピオンの稲尾の王座防衛とする。

大谷がいま、NPBで1年間投げたら……

 近年、日本のスーパーエースたちはメジャーに挑戦するケースが多くなっているが、大谷と、松坂大輔(西武-レッドソックスなど)、ダルビッシュ、田中将大(楽天-ヤンキース)らの間には明確な違いがある。それは、他の投手たちが日本でほぼ完成してから海を渡ったのに対して、大谷は発展途上の段階でメジャーに挑戦した点だ。

【次ページ】 現NPB最高・山本由伸と比べてみる

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