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ワリエワ騒動の論点「なぜロシアの選手ばかりドーピング違反が続くのか?」 過去には使用・隠ぺいで“10年間出場停止”の事例も

posted2022/02/15 17:02

 
ワリエワ騒動の論点「なぜロシアの選手ばかりドーピング違反が続くのか?」 過去には使用・隠ぺいで“10年間出場停止”の事例も<Number Web> photograph by Getty Images

2月14日、練習に姿を現したワリエワ

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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 2月14日、CAS(スポーツ仲裁裁判所)は、昨年12月の検体からドーピングの陽性反応が出ていたロシアのカミラ・ワリエワの五輪出場の継続を認める裁定を下した。理由としてあげられたのは、ワリエワの15歳という年齢がまだ要保護であること。また検体の検査結果の通知に異常な遅れがあったのは、本人の責任ではないこと。北京入りしてからの検査は陰性であったこと。そして出場させないことは、選手本人に避けられない害を及ぼす、と言う内容で、イタリア、アメリカ、スロベニアの3人のスポーツ法専門法律家の仲裁人による判断だった。

 IOC(国際オリンピック委員会)、WADA(世界アンチドーピング機関)、USOC(米国オリンピック委員会)などから、この裁定に関する失望の声があがっている。

 もっともこの裁定は出場許可に関するもので、本人のドーピング違反の有無についてではない。今後WADAは周辺のコーチ陣などに対する調査を続けていき、IOCはワリエワが3位以内に入った場合は、花束贈呈や表彰式は行わないと発表。またISUは、通常30人中トップ24人がフリーに進出するが、今回の状況をふまえて25人通過させると発表した。もちろん今後調査を続けて行く中で、ワリエワが失格になった場合に備えての決断だ。

フィギュアスケートにおける過去のドーピング事件

 過去、フィギュアスケートにおいて、ドーピング違反の問題は他の競技に比べるとそれほど多くはない。筆者が直接取材した最初の記憶は、2000年2月にロシアのペア選手、エレナ・ベレズナヤが欧州選手権終了後、ドーピング検査でプソイドエフェドリンが検出されて、タイトルを剥奪されたことだった。その原因は、当時ベレズナヤとパートナーのアントン・シハルリドゼが練習拠点にしていたニュージャージー州ハケンサックの医師が処方した、気管支炎の薬と言われている。筆者は実際に1999年11月のスケートカナダでベレズナヤが会見中にもたびたび咳き込んでいる姿を目にしているので、気管支炎の治療という説明に無理は感じなかった。コーチのタマラ・モスクビナは自分の管理不足だったことを認めて、謝罪。ベレズナヤは3カ月の競技出場資格停止を受け、2000年3月の世界選手権でタイトルを守ることは叶わなかった。

 2007年にはやはりロシアのペアのユーリ・ラリオノフが12月のジュニアGPファイナルで優勝した後、1月に陽性が判明してタイトルはく奪の上、2年間の出場資格停止の処分を受けた(後に18カ月に短縮)。検出された禁止物質は利尿作用のあるフロセミドで、体重調整に苦労していたラリオノフが減量目的で摂取していたダイエットピルが原因とされている。

 現在WADAがリストしている違反物質の中には、日常的に薬局で入手できるものもあり、このような不注意による過失と思われるドーピング違反も少なくない。だが意図的な摂取でなくても処罰の対象になることに変わりはなく、いずれも処分を受けている。

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