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「まるでやり方が違う」あの“バルセロナ”とも通底するメソッド構築で、熱血スペイン人HCが滋賀レイクスターズを躍進に導く
posted2021/11/12 17:00
text by
白井邦彦Kunihiko Shirai
photograph by
B.LEAGUE
B1リーグ12試合を終えた11月11日時点で、滋賀レイクスターズ(以後、レイクス)は6勝6敗の西地区7位に付けている。戦績だけを見れば高い評価はできない。ただ、昨シーズンからほぼメンバーを入れ替え、新任のルイス・ギルHCをはじめ、新外国籍選手のオヴィ・ソコやフィリピン代表キャプテンのキーファー・ラベナが開幕直前にチームに合流したと注釈を入れれば、評価はどう変わるだろうか。B1リーグ王者の千葉ジェッツや昨年の天皇杯覇者・川崎ブレイブサンダースと対戦した上での勝率5割は、絶好調とはいかないまでも“善戦”中とは言えるはずだ。
「未知数」のままシーズンイン
善戦の理由はいくつかある。まずオフシーズンに行った準備である。スペイン代表ACを務めるギルHCが東京オリンピックで不在の間、B2佐賀バルーナーズで2シーズンを共に戦った保田尭之ACが中心になってチームの土台を築いた。ギルHCが掲げる「アグレッシブな守備からのファストブレイク」というコンセプトを体現するため、日本人選手たちと新外国籍選手のショーン・オマラ、ノヴァー・ガドソンが蒸し暑い夏の体育館で汗を流した。そして8月の盆を過ぎた頃から戦術の浸透に着手。ギルHCを迎える頃には、ある程度のベースができていた。
とはいえ、新指揮官がB1リーグ初挑戦で、日本人選手たちのB1リーグ経験も少ない。正直、未知数のままのシーズンインだった。昨シーズンB1新潟アルビレックスBBで54試合に出場したキャプテン柏倉哲平も「不安だった」と振り返っている。
だが、いざ開幕するとホーム4連戦を3勝1敗で勝ち越しに成功。4連戦最後の茨城ロボッツ戦(GAME2)の後、柏倉はこんなコメントを残した。「ルイス(ギルHC)の求めることを遂行できれば勝てる。それをこの4試合で実感できた。不安は無くなった」
続くアウェイでの京都ハンナリーズ戦に2連勝し、ショーン・デニス前HCが率いる名古屋ダイヤモンドドルフィンズにも1勝1敗。一時は西地区1位に立つなど、新生レイクスの船出は上々の滑り出しとなった。