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登録人数が日本の3分の1でも…スイスは“W杯とEUROでフランス、ベルギーに並ぶ実績” 参考になる強化育成のポイントとは 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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posted2021/06/28 17:06

登録人数が日本の3分の1でも…スイスは“W杯とEUROでフランス、ベルギーに並ぶ実績” 参考になる強化育成のポイントとは<Number Web> photograph by Getty Images

国際大会で手堅く決勝トーナメント進出を果たす印象があるスイスだが、その強化育成は興味深い

 スイスの育成力はこの20年間、ヨーロッパにおいても高い評価を受けてきている。年代別欧州&世界大会には常連として名前を連ねているし、2009年にはU-17W杯で見事優勝も果たしている。

 スイスサッカー協会は、育成強化の一環として1993年に初めて育成アカデミーを作り、現在では全部で4カ所に増設している(うち1カ所は女子)。アカデミーとしてチームを持つのではなく、その年代で最もレベルが高いとされる選手を集めて、サッカー協会専任指導者の下で集中的にトレーニングし、週末の試合には所属クラブの選手として出場する。

 彼らがハイレベルな環境でトレーニングを積み、そこで鍛えられた選手が同じチームで戦うのではなく、それぞれのチームで戦い合う。そうすることで試合のレベルを高く保つことができる強化策は、非常に興味深いところだ。

トレーニングの最新研究を現場に落とし込む

 サッカーは様々な分野で研究&分析が進んでいる。

 技術、戦術、フィジカル、メンタル、インテリジェンスがトップレベルでも、変化する状況に対応、順応するためのベースを身につけなければならない。そのためにどんな取り組みが必要なのか。

 例えば、「サッカーでは4秒ごとに異なるアクションが求められる」という研究結果が発表されたときには、さまざまなダッシュの繰り返しを種々のトレーニングメニュー中に行い、選手自身が持っている素質とサッカーに求められる要素の間で理想的なバランスを見つけられるオーガナイズを考えたうえで、現場への落とし込み方が議論されたという。

クオリティが高い育成をどうシステム化するか

 クオリティが高い育成とは何か。

 1つの答えとして考えられるのが、選手個々に適したサポート環境を作り上げることだ。施設の充実はもちろん、将来を見据えたキャリアマネジメントも大切だ。

 スイスの育成アカデミークラブには、タレントマネージャーという立場で、育成選手がクラブのトップチームへ向けて成長する過程をサポートする人物もいるという。

 また、スイスは欧州の中でも相当早い段階でポジション別コーチがいた。

【次ページ】 「特に大事なポイントが……」

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