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登録人数が日本の3分の1でも…スイスは“W杯とEUROでフランス、ベルギーに並ぶ実績” 参考になる強化育成のポイントとは
posted2021/06/28 17:06
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
フランス、ベルギー、スイス。
「この3カ国に共通していることは?」と聞かれたら、何を思い浮かべるだろう。
食べ物、言語体系、国民性……。実は、W杯、欧州選手権というビッグトーナメントにおいて、直近4大会連続で決勝トーナメントに進出しているのは、この3カ国だけなのだ。
コンスタントに好成績をあげるのは簡単なことではない。
強豪国と呼ばれる国々でも、苦難の時期を経験している。イングランド、ポルトガル、スペインは14年ブラジルW杯で、ドイツは18年ロシアW杯で、それぞれグループリーグ敗退という憂き目を見ている。
イタリアは14年W杯でグループリーグ敗退、18年W杯では本戦出場を果たせなかった。オランダにいたっては16年欧州選手権、18年W杯と2大会連続で予選敗退している。
現在FIFAランク1位のベルギー、16年欧州選手権準優勝、18年W杯優勝のフランスに関しては「なるほど、そうだろう」と納得する人も多いかもしれない。でも、その両国と並んでスイスというのは、少なからずの驚きだ。
1970年から2002年までは予選敗退が常だったのに
国土面積は九州を一回り小さくしたくらい。アルプス山脈を中心とした山岳地帯も多く、可住地面積は決して広くない。サッカー人口も多くない。
スイスサッカー協会の登録会員数は約28万人で、サッカークラブの総数は1400弱だ。日本の協会登録会員数が82万人前後なので、約3分の1という規模だ。
立地条件や環境を考えると理想的とは言えない。スイス国内リーグはUEFAランキングで19位。代表チームに関しても、1970年から2002年までのW杯、欧州選手権17大会中予選突破を果たしたのは、わずか2回だった。
今回は、そんなスイスがどのように強豪国との競争力を手に入れたのかを探ってみた。
スイス協会のTDが話したことと育成改革
スイスサッカー協会テクニカルディレクターのローレント・プリンスが「我々は非常に競争の激しい環境の中にいる。どんな時でも現状のまま休んでいることなどできない」と話していたことがある。
力を入れたのは育成だ。