話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
停滞気味のヴィッセル神戸を救うのは、実はアイデアマンの古橋亨梧かもしれない。
posted2020/09/07 18:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE
なかなか調子が上がらないヴィッセル神戸。
カップ戦、ホームで川崎に0-6で大敗し、中2日でリーグ戦の湘南戦を迎えたが、前半は攻撃のテンポが上がらず、0-0の折り返し。後半5分に先制され、追う展開になったが、3分後に酒井高徳のゴールで追いついた。個の質が高い神戸は攻撃のスイッチが入った瞬間は相当の迫力が見られたが、その後はチャンスを決められず、1-1のドローに終わった。
アンドレス・イニエスタ、ドウグラスら主力に加え、田中順也、郷家友太らが離脱。攻撃の中核的な駒が抜ける苦しい台所事情だが、逆に厳しい状況は選手の成長を促すケースもある。
湘南戦で一番目を引いたのが、古橋亨梧だ。
昨年は、1/3の得点に絡む活躍を魅せた。
古橋は18年8月に岐阜から神戸に移籍し、そのシーズンは13試合5得点という成績を残した。19年はダビド・ビジャやイニエスタ、ルーカス・ポドルスキら世界の顔役とともに主力としてプレー。イニエスタの薫陶を受け、個のレベルを上げ、31試合10得点を挙げ、初めて二桁得点をマークした。
得点同様に注目すべきはアシストが8もあったことだ。
昨年、神戸の総得点が61点だったが、古橋の10得点に8アシストをプラスすると神戸の約1/3の得点に絡んだことになる。チームへの貢献度が高かったことが見て取れるだろう。
また、クラブ初のタイトルとなった天皇杯の優勝にも貢献し、今シーズンは背番号が16番から11番に変更になった。ビジャやポドルスキが去ったチームの中で、クラブの攻撃の中心的存在としての期待が背番号から感じられ、もちろん古橋自身も「自分が攻撃の中心的存在に」という自負があっただろう。今シーズンは、湘南戦まで13試合5得点という結果を残していた。ちなみに得点を挙げた試合は1勝3分で負けた試合はない。
湘南戦は、イニエスタ、ドゥグラスが不在だったが、チャンスの多くは古橋がボールに絡んだシーンから生まれることが多かった。