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佐々木主浩、福永祐一の夢を叶えた
友道調教師の風通しの良い仕事術。
posted2018/06/15 07:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Kiichi Matsumoto
5月27日に行われた東京優駿、いわゆる日本ダービーを制したのはワグネリアンだった。
騎乗したのは福永祐一。父・洋一元騎手が7回挑んで勝てず、また、自身もこれが19回目の挑戦での大願成就ということで、この鞍上ばかりがフォーカスされがちだが、大仕事に尽力したのはもちろんジョッキーだけではない。
「厩舎のスタッフが万全に仕上げてくれたので、攻める姿勢の競馬が出来ました」
17番という外枠だったにもかかわらず、積極的に先行していったことについて、福永はそう語った。
これを裏づけるように次のように話したのは、新たなダービー馬を管理する調教師の友道康夫だ。
「皐月賞の時は結果的にかわいがり過ぎたのかと思い、今回は悔いの残らないようにしっかり調教をして仕上げました」
指揮官のさじ加減に誤りがなかったからこそ、福永は攻める姿勢の競馬ができ、ワグネリアンはそれに応えて優勝することができたわけだ。
大魔神・佐々木主浩とのタッグも有名。
勝利インタビューの席で、福永は友道のことを次のように評した。
「普段はひょうひょうとしているので、こちらとしてもなんでも言いやすい」
この世界ではたびたび調教師と騎手の間に、微妙なパワーバランスが発生する。つまり調教師の意思が騎手の意見を凌駕するのだ。ありていに言えば、調教師の方が騎手より“エラい”のである。
しかし、そんな空気の中、福永の言葉からは友道が頭ごなしに彼を抑えつけるようなことはないと分かる。風通しの良さがうかがえるのだ。
友道といえば、大魔神・佐々木主浩オーナーとのタッグも有名だ。
ヴィルシーナでヴィクトリアマイル連覇(2013、14年)を達成したコンビは、その弟のシュヴァルグランや妹のヴィブロスでもGIを制覇する。その際、こんなエピソードがあった。
'16年に秋華賞を優勝したヴィブロスで、大魔神は「ジャパンCに挑戦したい」と考えた。しかし、友道は「ひと休みさせて来春のドバイを目指しましょう」と言ったそうだ。
結果、友道の指示に従った佐々木は、'17年に中山記念を叩いた(5着)あと、中東へ遠征。見事にドバイターフを優勝してみせた。